(有)アクウェリアスは、ウェブ上で実施した“ウェアラブルコンピューターに関するアンケート調査”の結果を発表した。このアンケート調査は'98年12月15日から1999年1月3日にかけて実施し、570人から回答を得たもの。
ウェアラブルコンピューターの利用シーンをいくつかの例から選ぶ問いでは、、情報や位置のナビゲーションに対してのニーズが高いことが明らかとなった。(1)書店や図書館、デパートなどで探している本/商品がすぐ分かる、(2)GPSや磁気センサー、PHSなどの機能を備え、自分の位置などが分かる腕時計サイズの情報機器『時空計』--などである。
近未来に登場するであろう製品への関心度についても聞いている。最も使ってみたい製品は、(1)“どこでもE-mailが使える携帯インターネット端末”--という結果となった。続いて、(2)ポケットタイプ/腕時計タイプを含むウェアラブルコンピューター、さらに(3)メガネ型ディスプレーの順になっている。
面白い結果となったのは、こうしたウェアラブル製品を購入する際のメーカーは? という問いに対する答えだ。2位以下を大きく引き離し、回答者の4割がソニーの名をあげている。メーカーの選択理由については、(1)“ブランド(親しみやすさ)”がトップで、(2)コンピューター技術などの信頼性、(3)製品コンセプト/構想--が続く形となっている。選択基準の1位がブランドなのは、ウェアラブルコンピューター=“身につける”ということで、見た目も重視するという結果だろう。
用途については、ビジネス用途が12パーセントなのに対し、個人での利用が73パーセントと、個人ベースでの利用を想定している向きが多い。これはビジネスに直結するようなサービスや製品のコンセプトがまだ提示されていないため、回答者がホビーを中心とした利用シーンを想起する結果だと思われる。
現在の(広義の)ウェアラブル製品のうち、購入を検討してみたいものは?
という問いでは、メガネ型ディスプレーに対する関心の高さが明らかとなった。(1)ソニーの『グラストロン』、(2)オリンパス光学工業の『アイトレック』--などである。この2つに続くのが、(3)NTTドコモ『ポケットボード』、(4)NTT『腕時計型PHS』、(5)セイコーエプソン『GPS搭載PDA』、(6)セイコーインスツルメンツの腕時計型コンピューター『ラピュータ』--など。
メガネ型ディスプレーについては、ビデオやテレビを見るといった、日常生活に則した身近な用途で使われるということから、人気が高くなるのは想像に難くない。ポケットボードは、ヒット商品で知名度が高いからと思われる。また、ラピュータなどの“腕時計型”への関心が高い事実は、“手ぶらで”という点が実は重要なのではないかと感じさせる。
このアンケート結果を見て感じたのは、ウェアラブルコンピューターに対する“利用したい”という具体的な欲求がまだまだ薄いこと。現在のコンピューターと同じものが、小さくなって身に着けられるようになるだけでは足りない。ウェアラブルという利点を生かすサービス、アプリケーションの登場が待たれる--という結論になろう。(1)もっと違ったインターフェースを備える、(2)ネットワークにつながる--などが、キーポイントではないか。