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【INTERVIEW】「一部の開発者向けに初期段階のMac OS Xを配布している」--米アップルコンピュータ、Avie Tevanian氏に聞く

1999年03月08日 00時00分更新

文● 月刊アスキー 櫨田智男

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 アップルコンピュータはiMacやPowerMac G3など数々の魅力ある新製品を投入し、マーケティングでは大きな成功を収めたにみえる。だが、“エンタープライズ向けOSの投入”という重大な課題が、いまだ残されている。アップルは過去この分野に何度か挑戦したが、そのいずれも失敗に終わっていた。だがこの課題も、まもなく出荷される『Mac OS X Sever』で解決されるはずだ。従来のMac OSにはない安定性を持ったMac OS X Severを開発した中心人物が、Avie Tevanian氏である。

 Avie Tevanian氏はカーネギーメロン大学(CMU)の主席設計者兼エンジニアとしてMachの開発に取り組んだ人物。米NeXT社に入社してからは、NeXTSTEPの開発と技術革新に取り組んだ。その後、アップルコンピュータによるNeXT社買収にともない、現在の職に就いている。MachとNEXTSTEP、そしてMac OS X Serverの生みの親といっても過言ではないTevanian氏。今後のMac OSを語るに、これほど最適な人物はいないだろう。インタビュアーは林信行氏。

----Mac OSの現在のロードマップはどうなっているのか? また、Mac OS 8.6とMac OS Xのβ版は今年第1四半期にリリースするのか?

 第1四半期と明言はしていないはずだが、Mac OS 8.6は春頃リリースの予定で開発が進んでいる。

 一方、Mac OS X(サーバー版ではなくクライアント版)も、春頃には多くの開発者にβ版を提供する予定だ。だが、一般ユーザーに向けた公開βの予定はない。実のところ一部の開発者に向けて、昨年末から開発初期段階のMac OS Xのシーディングも開始している。

アップルコンピュータのAvie Tevanian氏
アップルコンピュータのAvie Tevanian氏



----Mac OS XがPowerPC G3搭載のMacintoshを対象としていることから、Mac OS Xのリリース後に旧機種用OSがなくなるのではと、多くのMacユーザーが心配しているが?

 アップルは今春、Mac OS 8.6をリリースし、続いてSonataという後継のOSをリリースする予定だ。Sonataの後もできるだけMac OS 8シリーズのOSの開発を続けたいと思っている。だが、現時点で将来のMac OSにどういうバージョン番号が振られるか、どういった機能が盛り込まれるかといったことまでは決まっていない。

 Mac OS 8.xは顧客からのニーズが大きい限り開発を続けることになるだろう。ただし、それがどれだけの期間であるかは今のところわからない。

----Mac OS 8からMac OS Xへの移行はいつ頃完了すると思われるか?

 まったくわからない。それはすべてユーザーとサードパーティーの開発者次第だ。

----Mac OS XがPowerPC G3搭載のMacintoshしかサポートしない理由として、それ以前の機種をサポートしようとするとCPUやロジックボードの構成にバリエーションが多すぎるからだと聞いているが?

 確かにそれも理由の1つだ。あれだけの製品バリエーションすべてにおいてテストをするということはおよそ大変なことだ。

 もう1つの理由は、Mac OS Xが出る頃にはPowerPC G3搭載機の発売から2年ほど経っていることから以前の機種に比べて価格も手頃になり、それでいてPowerPC 603や604と比べてパフォーマンスが圧倒的に高いからということだ。

 Mac OS XはPowerPC 603や604搭載機でも動くかもしれないが、われわれが動作保証をするのはG3搭載機だけだ。古いマシンでは動くかどうかも分からないうえに、動いたとしても遅すぎてほとんど使いモノにならないかもしれない。

 今から1年も経てば非常に高速なG3搭載機、それどころかもしかしたらG4搭載機が驚くような安い価格で買えるようになっているかもしれない。そんな時代に、Mac OS Xの先進的な機能を4~5年前のPowerPC 603搭載機に対応させるため四苦八苦するのはおかしいと思わないか?

----昨年、将来のMac OS 8.xにCarbonを搭載する予定を発表したが、これは実現しそうか?

 その方向で開発を進めている。

 このインタビューの完全版は、月刊アスキー4月号(3月18日発売)に掲載を予定しています。続きは月刊アスキー4月号でご覧ください。

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