ロボットにサッカーをプレイさせる“RoboCup”の日本国内大会“RoboCupジャパンオープン2000”が23日から25日までの3日間、北海道函館市の公立はこだて未来大学において開催された。主催はロボカップ日本委員会と(株)日本経済新聞社。(社)人工知能学会や(社)日本ロボット学会が共催にあたっている。
会場の公立はこだて未来大学はこの4月に開校した新設校。ロボットや人工知能の研究に力を入れている。大学らしからぬオープンスペースをコンセプトにしたデザインの校舎が特徴。学校の紹介は別レポートで |
RoboCupは人工知能やロボットに関する研究の促進を目的に日本の研究者が提唱した競技のこと。文字どおりロボットによるサッカーを行なわせるものだ。サッカーは個々の状況判断やチームプレイ、環境認識、シュートやドリブルなど、多数の要素が絡み合う複雑な競技であることから、サッカーができるロボットの開発がこの分野の研究開発のよい指針・目標になるというのがその理由。究極の目標は50年後に人間のW杯優勝チームに勝つことだ。参加しているのは大学の研究室チームのほか、個人での参加も増えている。
ジャパンオープン2000はサン・マイクロシステムズ(株)と富士ゼロックス(株)がスポンサーについた。会場は一般に開放され、珍しいロボットのイベントに市内から多くの来場者が詰めかけた |
1997年に最初の世界大会が名古屋で開催されて以来、毎年1回ずつの世界大会と国内のチームが競うジャパンオープンが開催されている(世界各地でもローカルの大会が開催されている)。ジャパンオープンの目的は、参加チームが経験を積むことで互いのレベルアップを目指すこと。また、夏に開催される世界大会(今年は8月下旬にオーストラリア・メルボルン)へ向けての調整という意味合いも込められている。
小型機部門のフィールド。7チームが参加した |
小型機部門にはこんなロボットも登場。詳細は別レポートで |
RoboCupは複数のカテゴリーにわかれている。実際に動くロボットを使う実機部門にはフィールドとロボットのサイズによって小型機と中型機があり、昨年の世界大会からはこれにソニーの『AIBO』のRoboCupバージョンを使った脚式部門が加わっている。またコンピューター上でシミュレーションを行なうシミュレータ部門もある。これらに加え今回は、今後正式競技として採用される予定の災害救助に応用するためのシミュレーション“RoboCup
Rescue”のプレビューや、ascii24でもたびたび取り上げている『LEGO
MINDSTORMS』を使ったサッカーのエキジビションなども開催された。
中型機部門の対戦の様子。ボールはフットサル用のものを使用している |
シミュレーション部門では3次元グラフィックスによる試合の表示も行なわれた |
参加したのは小型機部門が7チーム、中型機部門が7チーム、シミュレーションが23チーム、脚式部門が2チーム。23日と24日の2日間で予選を行ない、25日に決勝トーナメントが行なわれ、最新の研究成果を競う熱い戦いが繰り広げられた。競技の詳細については、各部門別にこのあとレポートをするのでそちらを参照してほしい。
子どもたちに市販されているイーケイジャパン社製のサッカーロボットを組み立ててもらい、実際に対戦させるワークショップも開催された |
LEGO MINDSTORMSを使ったエキジビションも行なわれた |