27日からの3日間(現地時間)、米マクロメディアが主催するイベントの“flashforward
2000 ”が、米サンフランシスコのMasonic Centerにおいて開催された。
同イベントでは、米マクロメディアのFlashテクノロジーを利用する開発者とコンテンツ制作者を対象にしたワークショップやコンファレンス、展示会などが催された。また、27日夜には、Flashムービー作品の上映会が行なわれた。
flashforward 2000”の会場となったMasonic Centerの外観。高級ホテルが立ち並ぶノブヒル地区の一角にある。基調講演会場となったAuditoriumルームは、2500人以上の収容能力を持つ |
“flashforward”は今回が初めての開催となるが、今夏にはニューヨーク、今秋にはヨーロッパでの開催が予定されている。本稿では、28日に催された米マクロメディアによる基調講演の内容をお伝えする。
好調なマクロメディアのウェブビジネス
28日の基調講演では、米マクロメディアの会長兼CEOを務めるロブ・バーゲス(Rob Burgess)氏が登壇し、『Flash Player』と『Shockwave Player』の普及状況を報告した。これらメディアプレイヤーのダウンロード数は、2000年2月の1ヵ月間で過去最高の4600万回、日平均にして150万回を記録したという。マクロメディア社のウェブビジネスについて報告する、会長兼CEOのロブ・バーゲス氏 |
2000年3月にNPD Online Researchが発表したところによると、現在、全世界で2億2200万人のユーザーが『Flash
Player』を、1億2800万人が『Shockwave Player』をインストールしているという。
全ユーザーのウェブブラウザーにインストールされている割合としては、『Flash
Player』が90パーセント、『Shockwave Player』が50パーセントとなる。競合製品ではJavaが85パーセント、マイクロソフトのWindows
Media Playerが59パーセント、アドビシステムズのPDFが56パーセント、リアルオーディオのReal
G2が53パーセント、アップルコンピュータのQuickTimeでは33パーセントとなっているとのことだ。
続いて、'99年8月2日からサービスを開始した“shockwave.com”に関する報告があった。ゲームやコミック、音楽などのエンターテイメントをオンラインで提供するshockwave.comでは、サービス開始からの7ヵ月間で1400万人の登録ユーザーを集めているとのこと。'99年8月には1日平均4万6000人の登録数だったのに対し、2000年2月には8万1000人に増加したと語った。
Flash用SDKの無償配布を開始
続いて、同社でCTOを務めるケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏が登場し、2003年までにおけるインターネット接続環境の予測について語った。リンチ氏によると、ケーブルインターネットやDSLの普及により、2003年までにバンド幅は現在の1.6倍以上になるという。また、接続端末の台数や種類も増え、Flash製品の需要はますます高まるだろうと語った。マクロメディアのケビン・リンチ氏は、Windows CEで動作する『Flash Player』のデモを行なった。実は、今年2月にボストンで開催された“Seybold Seminoars Boston 2000”でも同じデモが行なわれていた |
続いてリンチ氏は、新たなFlash向けのソフトウェア開発キット(SDK)を、同日から提供開始すると発表した。それらは、『Flash
4』のファイルフォーマットであるSWFファイルの書き込みを可能にする『Flash File
Format (SWF) SDK』と、さまざまなプラットフォームでFlashコンテンツを再生するための『Flash Player Source Code SDK』の2種類。サードパーティーの開発者は、同社のウェブサイトから無償ダウンロード/使用することができるという。
『Flash File Format (SWF) SDK』は、Flash 4のファイルフォーマットであるSWFファイルの書き込みが可能なアプリケーションを開発するためのキット。ツールセット、ドキュメント、C++コードが付属する。すでにアップルコンピュータ、クオーク、アドビシステムズ、コーレルなど30社以上が、このSDKを利用してアプリケーション開発を進めている。
『Flash Player Source Code SDK』は、さまざまなプラットフォームやアプリケーション上で、Flash
Playerのコンテンツを動作させるための開発キット。Win 32システムに最適化されたFlash
playerのC++ソースコードが付属する。
『Flash 5』の2つの新機能
最後に、現在開発中のWindows版『Flash 5』のデモンストレーションが披露され、2つの新機能が紹介された。ボタン式メニューを作成する“flash menu builder”と、ポップアップメニューを作成する“drop-down list maker”がそれだ。これらの新機能により、インタラクティブなコンテンツをより手軽に作成することができるとしている。中央のボックスが、『Flash 5』における新機能の1つ“flash menu builder"の操作画面。ボタンメニューを作成する |
こちらは“drop-down list maker”の操作画面。ポップアップメニューを作成する |
リンチ氏は、「これは、Flash 5の正式なアナウンスではありません。今日は開発中の製品の一部をみなさんに紹介しただけです」と念を押しながらも、「この続きは、今夜のパーティーでお見せします」と付け加えた。
夜9時のパーティーに再登場した『Flash 5』
夜9時から開催されたパーティー会場の巨大スクリーンに、『Flash 5』が再び姿を現わした。タグ付きのパレットが採用されるなど、同社のグラフィックソフト『Fireworks 3』に似たインターフェースに変更されている。カラーピッカーなど、これまでダイアログで用意されていた多くの機能が、パレットから使用できるようになった。月曜日の夜9時、たどり着いたパーティー会場には長蛇の列ができあがっていた。『Flash 5』のデモは、会場1階、3階、地下1階の3ヵ所に分けて行なわれた。もっともデモの内容はどの階もまったく同じ |
このパーティーでは、2つの新機能“ペンツール”と“Movie Explorer”も新たに紹介された。
ツールパレットに用意されている“ペンツール”では、フリーハンドによる描画を行なうことが可能だ。描画はピットマップではなくベクトルデータとして記録される。
“ペンツール”。右側にツールパレット、左側にタグ付きのパレットが配置されるている。ペンツールを使った描画は、ベクトルデータとして記録される |
“Movie Explorer”は、オブジェクトの検索を支援する機能。文字のみ、画像のみ、あるいは種類別、名称別に、特定のオブジェクトだけを表示させることができる。また、ここからオブジェクトを複数を選択し、カラー属性やフォントなどを一括変更することも可能となっている。
Flashコンテンツで使用するオブジェクトを表示する“Move Explere”。種類別(文字、サウンド、画像)に表示したり、検索ボックスに入力した文字を含むオブジェクト名のみを表示することができる |
マクロメディア Flash 5 vs Adobe Live Motion 1.0
リンチ氏が講演の中で「正式なアナウンスではない」と告げたように、『Flash 5』の価格や発売時期などは未定だ。それでもなお、Flash 5が参加者の前に姿を見せたのは、今年5月にアドビが発売を控えている『Live Motion 1.0』に対する牽制なのかもしれない。“Flashコンテンツの作成を支援するFlashコンテンツ”の作成例。あらかじめ用意されたFlashコンテンツを使用し、“Who Wants To Marry A FLASH Engineer?”(フラッシュのエンジニアと結婚したいのは誰?)というタイトルのクイズゲームが作成された |
Vol.2レポートでは、29日に行なわれた米アドビシステムズ社のジョン・ワーノックCEOと、プロダクトマネージャーであるマイケル・ニネス(Michael
Ninness)氏の基調講演、さらに、ニネス氏へのインタビューをお伝えする。