(株)東芝は29日、企業のネットビジネスに必要なソフトとハードを組み合わせた“ネットビジネス・プラットフォーム”の販売を4月に開始すると発表し、都内で発表会を開いた。ソフト販売で提携している日本オラクル(株)製ソフトを核に、東芝のサーバーなどハード製品を目的別に組み合わせて提供する。両社共同で日本市場向けのソフト開発を行なうほか、マーケティングやサポート面でも全面的に協力していく。
東芝デジタルメディア機器社副社長の久保勲氏(右)と日本オラクル取締役の石井洋一氏 |
新事業で提供するのは、インターネットでビジネスを展開する際の基盤となる製品。東芝のハードとソフト、オラクルのソフトを顧客の要望に応じて組み合わせて提供する。基本的にはオラクルのアプリケーションサーバー『Oracle
Application Server』を中核と位置づけ、目的別にオラクルのデータベースソフト『Oracle8i/Lite』や東芝のナレッジマネジメント支援システム『eFilingMeister』などのソフトを用意。東芝のPCサーバー“MAGNIA”シリーズやUNIXサーバー“UX”シリーズを利用してシステムを構築する。販売はSI事業者向けに行ない、直接販売は行なわない。
東芝は、'84年からオラクルとソフト販売で提携しており、新事業でも密接なパートナーシップを活かして製品開発やマーケティングを共同で行なう方針だ。
第一弾として、オラクルが6月にも発売を予定している携帯端末用のゲートウェイソフト『Oracle
Portal-to-Go』に日本市場向けの機能を東芝側で追加する。同ソフトはデータベースやHTML/XMLベースのコンテンツを、携帯端末でも軽快に利用できるよう処理を行なうもの。日本で普及しているiモード端末などの携帯電話でも利用できるよう、東芝で機能を追加して提供する。さらに東芝独自のJava技術を利用し、GUIだけを端末に表示させ、ソフトはすべてサーバー側で動作させることを可能にするシステムの開発も予定している。
また東芝では営業部門に“ネットビジネスグループ”、同社府中工場に“オラクルサポートオフィス”を新設。オラクルと協力して新規顧客開拓やサポートの充実に努めるという。
ネットビジネスへの注力を表明
東芝は21日、モバイルとネットワーク分野を最重点分野と位置付けた中期計画を発表している。プラットフォーム事業を担当する社内カンパニー・デジタルメディア機器社も新年度から“デジタルメディアネットワーク社”と名称を変更し、ネットワークへの重心移動を明確に打ち出した。東芝では新事業で初年度500億円、2002年度には1000億円の売上を目指している。発表会で、東芝デジタルメディア機器社副社長の久保勲氏は、「新事業はオンラインショップやコンテンツ配信などの基盤となるもの。プラットフォーム事業の開始で各カンパニーのソリューション事業を刺激し、東芝のインターネット事業全体の拡大につなげたい」と述べ、新事業が同社のインターネット事業戦略に基づくものであることを明らかにした。
日本オラクル取締役でパートナー事業本部長の石井洋一氏は、「東芝とは国内で初めてオラクルのデータベースソフトをOEM採用して頂いて以来、密接なパートナーシップを築いている。新事業でも東芝を全面的に支援していく」と語った。