7日、ザイリンクス(株)は、1月24日に発表したCPLD(Complex Programmable
Logic Device)“CoolRunner”、XPLA3(eXtended Programmable Logic Array)ファミリーの説明会とデモンストレーションを実施した。
ファーストゼロパワー技術を採用し、消費電力を低減
XPLA3ファミリーは、独自のファーストゼロパワー技術(*)を採用し、スタンバイ消費電力を100μA(マイクロアンペア)に低減、ピン間遅延時間を5n(ナノ)秒にしたもの。他社製品と比較して、スタンバイ消費電力は1000分の1レベル、全消費電力は3分の1になっているので、ポータブルPC、PDA、ワイヤレスデバイスなどの分野に利用できる。(*)CPLDには、ロジックを構成するためのパラメーターを記憶するメモリーセルがある。これを読み出すためにセンスアンプが用いられている。このアンプはリニアアンプのため、積項(AND)を拡張するほど電流が流れるという特性があり、通常は100ミリアンペアぐらいの電流を常に流しておく必要がある。ファーストゼロパワー技術では、このアンプ部をすべてCMOSタイプに変更しているため、スタンバイ時には大幅に電力を低減できる。
米ザイリンクスInc.のマーケティング、アプリケーションマネージャー、リノ・サンチェス氏がデモと説明を行なった |
同ファミリーは、再プログラミングが可能な0.35μm(マイクロメートル)5層メタルプロセスで製造しており、ゼロパワーインターコネクトアレイと、PLAロジック(*)、I/Oロジック(5V対応のI/O、PCIコンパチのI/O)などで構成。マクロセルが32(使用可能ゲート数750)
から384(9000)までの5タイプを用意している。
(*)PLAロジックは、XPLA3ファミリーから完全なPLAになった。プログラマブルORとANDの組み合わせによって、ピンロックを掛けやすくなっている
XPLA3ファミリーの外観 |
パッケージは、QFPや0.5mmボールピッチのCSP(CO)と0.8mmボールピッチのCSP(CS)などを用意。32および64マクロセルのタイプではCSとCPの両CSPパッケージを用意している。現在、256マクロセルのタイプをサンプル出荷中。量産出荷時の価格は10万個ロットで、1.65ドル(32マクロセルタイプ)、11.4ドル(256マクロセルタイプ)。主なスペックは以下の表とおり。
XPLA3ファミリーの主なスペック
型番 |
XCR3032XL |
XCR3064XL |
XCR3128XL |
XCR3256XL |
XCR3384XL |
マクロセル |
32 |
64 |
128 |
256 |
384 |
使用可能ゲート数 |
750 |
1500 |
3000 |
6000 |
9000 |
tPD(ns) |
5 |
6 |
6 |
7.5 |
7.5 |
fSYS(MHZ) |
200 |
167 |
167 |
133 |
133 |
パッケージ |
44VQ(32) |
44VQ(32) |
|||
(最大ユーザー I/O) |
48CS(32) |
*48CS(32) |
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56CP(44) |
100VQ(80) |
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100VQ(64) |
144CS(104) |
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144TQ(104) |
144TQ(104) |
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208PQ(160) |
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280CS(160) |
280CS(216) |
“CoolRunner”の“oo”の文字が、グレープフルーツをかたどっている理由
説明会では、銅と亜鉛のイオン化傾向の違いを利用し、起電力を生じさせる“ボルタの電池” の原理を使って、LCDを駆動するデモンストレーションが行なわれた。使用した駆動ボードは、発振素子、“CoolRunner”、1個のLCD素子およびドライバーICで構成。このデモは、4個のグレープフルーツを利用し、3V、50mAミリアンペア程度の電圧電流を発生させ、ボードを駆動するというもの。LCDに“CoolRunner”というキャラクターが、1文字ずつ順次表示されているのを確認できた。
グレープフルーツに銅の棒と亜鉛の棒を挿して、LCDを駆動しているところ |
こちらは日本酒で。同様にLCDが駆動し、同じようにLCDに文字が流れた |
これ以外にも、起電力を発生させるデモ用の材料として、日本酒、梅酒などが用意されていた。“CoolRunner”の“oo”の文字は、グレープフルーツでデザインされているが、このデモによって、なぜグレープフルーツのロゴが採用されていたのか、読者にも分かっていただけると思う。