WIDE Project*1と(株)日立製作所は29日、共同で開発した次世代インターネットプロトコルであるIPv6(IPバージョン6)への移行技術がIETF*2において、RFC2767*3として正式に採用されたことを発表した。これは、同技術を全世界のIPv6実験サイトに提供してきた実績が認められたため。
*1 WIDE : Widely
Integrated Distributed Environment。オペレーティングシステム技術と通信技術を基盤とした新しいコンピュータ環境の確立をめざす研究プロジェクト。代表は慶應義塾大学の村井純教授。
*2 Internet
Engineering Task Force。インターネット関連技術の標準化組織。
*3 RFC : Requests for
Comments。IETFが発行するインターネット関連技術の標準企画書。発行された順に通し番号が付けられる。今回の技術は、その2767番目。
現在のインターネットは約20年前に設計された通信プロトコルであるIPv4によって通信を行なっているが、近年の急激な普及にともなって、IPアドレスの枯渇や経路制御情報の肥大化などの問題が深刻化している。IETFではこれらの問題を解決するため、アドレス空間が128ビットに拡張された次世代インターネット通信プロトコルであるIPv6の標準化を進めている。
今回IETFで採用されたRFC2767は、現在の設備やアプリケーションを利用しながら、IPv4とIPv6の両方のプロトコルで通信することができる技術で、これによってIPv4/IPv6混在環境が実現する。このため、ネットワークインフラがIPv4からIPv6に変更されても、投資した設備やアプリケーションプログラムなどの継続利用が可能となり、IPv6環境へのスムーズな移行が可能になるという。
WIDE Projectと日立製作所は、IPv6技術の開発に早くから取り組み、実用化に向けて活動を行なってきた。日立製作所は、1997年6月にIPv4/IPv6アドレス変換機能を備えたルーター『NR60』の提供を開始、1998年8月にはIPv6対応ソフトウェア『Toolnet6』を開発して、Windows
PCがIPv4/IPv6混在環境においてプロトコルを意識しないですむ通信を可能にした。同ソフトは今回採用された技術をベースに開発されたもので、同社のホームページ上で無償配布されている。