(株)マクニカは、米Berkeley Software Design, Inc.(BSDI)が開発したBSD系UNIX OSの最新版、『BSD/OS
V4.1』の出荷を開始した。
BSD/OSは、元々UCB(カリフォルニア大学バークレー校)が開発したBSDUNIXの流れを汲む商用UNIX
OSで、AT&TのUNIXライセンスに抵触しないものとして開発された「4.4BSD-Lite2」がベースとなっている。その点では、フリーソフトウェアとして開発されているFreeBSDやNetBSDなどと「起源」は同じと言えるが、BSD/OSは、商用版として独自の改良、発展が続けられてきており、現在では、それぞれ別々のOS環境として位置付けられている(もちろん、BSD系UNIXという大きな枠組での共通項も依然として多いが)。
BSD/OS V4.1では、最大4GBまでのメインメモリに対応できるようになったほか、NAT(Network
Address Translation)機能のサポート、Linuxアプリケーションを動作可能にする『Linux
Application Platform』の塔載、DNSサーバの最新版『BIND 8.2.2』の採用――などの新機能追加、機能改良が行なわれている
(主な新機能については表を参照)。
価格は、『1~16ユーザ版バイナリライセンス』が16万8000円、『同1~64ユーザ版』が29万8000円、『同ユーザ無制限版』が55万円など。これらに対するサポートサービスは別料金となっており、BSD/OSに関する一般的な質問について、電子メールまたはFAXにて回答する技術サポートと、バージョンアップ版がリリースされたときにメディアを送付(またはFTPによる提供)するアップデートサービスが組み合わされた『技術サポート+アップデート』が、6万5000円(1~16ユーザ版、1年間)からとなっている。
また、官公庁や学校など、非営利目的での利用に対しては、ユーザー数無制限の『非商用サイトライセンス(同一敷地内、同一管理者の下での年間使用料)』が31万円で設定されている。
BSD系UNIXは、インターネットの開発、発展に多大な貢献をしたOSプラットフォームとして知られているが、BSD/OSは、そうした「BSDブランド」を後ろ盾に、商用のサポートをプラスしたものとして、これまでにも一定のポジションを獲得してきた。すなわち、インターネットサーバとしてのBSD系UNIXの信頼性と同時に、業務で使う場合の商用サポートを求めるようなケースにおいて、BSD/OSは、最有力の選択肢として考えられてきた。
しかし、先日、米Sun Microsystems社が、商用UNIXで最大のシェアを誇るSolarisのランタイムライセンスを事実上無償化することを発表したように、最近の趨勢は、OSそのもののライセンス料で「日銭」を稼ぐのではなく、その上で提供するサービスによって収益を得るようなビジネスモデルへとシフトしてきている。そのため、BSDIやマクニカの採用するOSライセンスそのものを販売することで収益を得るというビジネスモデルは、旧態然としていると言わざるを得ない。
製品としてのBSD/OSの質や実績には非の打ちどころがないとはいえ、商品として今後発展、普及していくためには、こうした新しいビジネスモデルにどう対応していくのかが焦点になると言えるだろう。
BSD/OS V4.1の主な新機能
最大4GBまでのメインメモリをサポート |
International版での56bit DESの提供 |
ディストリビューションCD-ROMからのブートが可能に |
NAT(Network Address Transration)機能 |
BIND 8.2.2の塔載 |
IPフォワーディング機能の強化(タグとプライオリティによる管理機能を付加) |
FTPプロキシ機能 |
IPパケットのフィルタリング機能で、データ転送レートを設定可能 |
IPパケットのモニタリング機能を強化 |
EGCSのサポート |
パラレルmakeのサポート |
Linux用バイナリプログラムを実行可能にする『Linux Application Platform』の塔載 |
(ただしスタティックリンクされたプログラムは動作不可など、多少の制約あり) |
Netscape Communicator 4.7塔載 |
組み込み用途のためのファイルシステム“ROMfs”をサポート |