(社)日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は14日、“第1回インターネット・ガバナンスに関する研究会”を開催した。同研究会は、インターネットの資源調整に関する国際的動向の情報提供や、テーマを設定して定期的に定例会を開催し、理解を深めることを目的としている。第1回目は、同研究会の説明と、ICANN*の組織について、解説がなされた。
*ICANN:Internet
Corporation for Assigned Names and Numbers。グローバルに、ドメイン名やIPアドレスなどのインターネット資源の管理調整を行なう非営利法人。米国に本拠を置いている。
“インターネット・ガバナンスに関する研究会”は、インターネットの資源調整に関する国際動向の理解を深める会
JPNIC国際企画部会研究会世話役の荒野高志氏が、同研究会の活動について説明を行なった。荒野高志氏 |
同研究会の名称は、“インターネット・ガバナンスに関する研究会”とし、英語名称は“Internet
Governance Study Group(IG-SG)”という。設置の期間は2000年7月までの設置で、月1回程度の定例会を開催するとしている。
同研究会は、「ICANNを中心に、インターネットの資源調整に関する国際的動向の情報提供や、テーマを設定して定期的に定例会を開催し、理解を深めることが目的」という。国際的な動向が日本にどのような影響を与えるのか。また、どのような形でその動きに参画するのかを考えることも目的としている。
同研究会への参加資格は特にない。毎月開催が予定されている定例会では、次のようなテーマが研究会の議題として、検討されている。
・COMドメインの現状と今後の行方
・レジストラー/レジストリービジネスを始めるには
・新しいgTLDはいつ始まるのか
・世界のインターネットの管理にはいくらお金がかかるのか
・IPアドレスポリシーのグローバル化
・IETFとRFC
ICANNに、もっと日本からの積極的な参加が必要
次にJPNIC国際課の大橋由美氏が、ICANNの組織について解説を行なった。大橋氏によると、「ICANNは世界レベルでインターネットの資源ポリシーを調整する民間主導の組織であり、民間主導で一元管理を試みるというおもしろいテーマではないか」という。大橋由美氏 |
同組織は、社会基盤として定着し、広がりをもち始めたインターネットの管理、運用、調整をどうバランスよく行なうのか、いろいろな面から新しい試みをしているのだという。
同組織が発足する以前は、責任を明確にして権限で割り当てる体制が不明確で、米国以外からの意見が反映されないなど、利用者の広がりに相応しくない状態であったという。そこで、民間主導で、グローバルな合意に基づいて一元管理を行なうICANNが設立された。
ICANNの理事会は、DNSO、ASO、PSO*の各機構から3名ずつ、一般会員組織“At-Large”から9名の委員を出し、計18名と事務総長の19名で運営されるという。
*DNSO、ASO、PSO:DNSO(Domain
Name Supporting Organization)はドメイン名について、ASO(Address Supporting
Organization)はアドレスについて、PSO(Protocol Supporting Organization)はプロトコルの勧告を行なう機構で、それぞれ評議会と総会から成る
一般会員組織から9名が選出されることをみても、民間の意見が大きく反映されるものであることがわかる。
現在、ICANNの活動は欧米中心で、法律家やベンチャー企業の社長など、技術者以外が中核となって活動しているという。「アジアからの参加者が少なく、JPNICとしてより積極的に参加していきたい」という。
一般の人がどのように貢献できるのかについて、「ドメイン名やポリシーの議論の場で日本からの参加が少なく、そこへ参加することが実質的な貢献ができる場だと思う」と語った。
これに関して、インターキュー(株)取締役のリチャード・リンゼイ(Richard
A.S. Lindsay)氏は、「個人の意見が反映されるのかというと、反映されます。本当に大切な意見は数少ないですが、大切だと思う意見に対しては全員が注目し、前向きに考えます。まずは参加して1回だけでも、意見を出してほしいのです」と意見を述べた。
リチャード・リンゼイ氏 |
次の定例会は、3月7日~10日のICANNエジプト会議が終わったあとの、3月下旬ごろに開催の予定だという。