10、11日に京都府相楽郡の“けいはんなプラザ”で開催された、アートとテクノロジーの融合をテーマにした国際会議“デジタル・ルネッサンス
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けいはんな”のレポート。ここでは同イベントで公開された展示作品について紹介する。
『ニューロベイビーMIC』
土佐氏をインタラクティブ・アートの第1人者にした作品『ニューロベイビー』のバージョンアップ版ともいえる作品。けいはんな都市内にある都市基盤整備公団・学研都市展示館内に常設されている。対話者の声の抑揚や手の動きなどに反応して9つの感情を表現し、それに合わせて背景も変化する。放っておくと眠ってしまう。
今回のイベントの総合ディレクターを務めた土佐尚子氏の作品『ニューロベイビーMIC』 |
『インタラクティブポエム』
ATR内にある土佐氏の研究室で10日に公開された。回り灯ろうのような立体視ディスプレーの中に、女性の顔が浮かび、対話者と一緒に連歌を編んでいく。女性はフレーズよりも声の抑揚に反応し、ある時は笑い、ある時は悲しいといった感情を見せる。分析はスーパーコンピューター『MUSE』によってリアルタイムに処理する。制作は、詩人の谷川俊太郎氏をはじめ、シナリオライター、声優、音楽家らとのコラボレーションによって行なわれた。画面の左端には対話者の感情がグラフで示される |
『ロミオとジュリエット黄泉にて』
観客自身が作品の中に入り込み、演じていくことでストーリーが変わっていくというインタラクティブシネマ。ATR内にある土佐氏の研究室で11日に公開された。観客はさまざまなセンサーを取り付けた衣装を着用し、動作やセリフの抑揚によってキャラクターを動かしていく。
観客が着用するロミオとジュリエットの衣装。セリフのタイミングを忘れないようにヒザには振動器まで付けられる |
『無意識の流れ』
土佐氏の最新作で、会議会場内に設置された。対話者の深層意識を人魚が表現する。深層意識は指に付けた心拍センサーと位置センサーのデータを読み込んで解析される。画面は準備中のもの。実際には桶に水を張り、その中を人形たちが泳ぎ回る |
丸いワッペンのようなものが位置センサーで、それぞれのキャラクターに触れると互いの距離などを関知し、両者の関係が親しいものかどうかなどを判断する |
『Life Spacies II』
クリスタ・ソムラー氏とローラン・ミニョノー氏の共同作品で、ATR内にて公開。キーボードで打ち込まれた文字をえさにして、仮想生物が成長していく。組み合わせによって生物の生態系が変わったり、子供を産んだりもする
『Life Spacies II』 |
『PICO_SCAN』
同じく両氏による共同作品。懐中電灯型のセンサーを使って、体の情報をスキャンすることで、さまざまな反応をディスプレーに表現していく。さらに、複数名の情報を交換したり、重ね合わせたりもできる。『PICO_SCAN』 |
ATRで紹介された音楽と人工生物を組み合わせたロドニー・ベリー氏の作品。それぞれ異なる色と音の性質を持った立方体の人工生物をマウスで動かし、他の人工生物とぶつけると融合し、新しい音を生み出して、さらに成長していく |
『タマ』と『ごま』
会場では、さわったり、対話をすることで成長する動物型ロボットの『タマ』と『ごま』が展示された。いずれも通商産業省工業技術院機械技術研究所の柴田崇徳氏が企業と共同で開発している。見た目のかわいらしさや、動き、そして本物の毛並みにこだわったという。鳴き声もかなりかわいい。猫ロボット『タマ』 |
あざらしロボット『ごま』 |
『AIBO』
おなじみソニーが開発した世界初の家庭用ロボットのAIBOも会場にお目見え |