今年6月、不法にコピーした海賊版ソフトをパソコン通信を通じて販売したとして、著作権法違反の罪で起訴されていた横浜市の無職男性被告(46歳)に対し、横浜地裁は懲役1年の実刑判決を言い渡した。(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によると、海賊版ソフトの販売事件で実刑判決が言い渡されたのは今回が初めて。
判決によると、この男性は今年6月14日、アドビシステムズ(株)の『Adobe
Photoshop 5.0日本語版』といったソフトをCD-Rに不法にコピー、大手プロバイダーの掲示板を通じて客を集め、格安で販売していた。この男性は'94年9月にも同じ容疑で逮捕、起訴され、執行猶予付きの有罪判決を受けていた。
判決公判で、横浜地裁の志田洋裁判官は、「被告は再犯であり、違法性を認識しながら著作権侵害を繰り返していた。また自宅の家宅捜索を受けた直後に、違法ソフトを販売した相手に対し、通信記録を処分するようメールを送り証拠隠滅を図ろうとしていたなど、知的所有権の保護が要請されている中、悪質性が高い」として、懲役1年6ヵ月の求刑に対し、懲役1年の実刑判決を言い渡した。
ACCSでは、「捜査機関や裁判所が知的所有権保護を重視する傾向が顕著になっており、今回の判決も適切な権利保護の実現と受け止めている」とコメントしている。
また愛知県警生活安全特捜隊とハイテク犯罪対策室、中署は、不法にコピーした海賊版ソフトをパソコン通信を通じて販売したとして、著作権法違反の疑いで埼玉県内のアルバイト男性(25歳)を逮捕、名古屋地検に書類送致した。
調べによると、男性は大手パソコン通信の掲示板に「いらなくなったソフト売ります」などど書き込んで客を募集。電子メールで注文を受けると、許諾を受けていないにも関わらず、ソフトをCD-Rにコピーし、代金を振り込ませてから郵便や宅配便で発送して販売していた疑いがもたれている。
不法にコピー、販売されたソフトはAdobe Photoshop 5.0日本語版、(株)ヴァル研究所の『駅すぱあと』、マイクロソフト(株)の『Combat
Flight Simulator』『Word98』。男性は'98年10月ごろから今年8月まで、全国の約150人に対し約200回の販売を繰り返し、売上は合計約150万円に上るとみられている。警察の調べに対し、男性は「掲示板に書き込まれていた海賊版の販売広告がヒントになった。もうけはソフト購入などの小遣いに充てていた」などと供述しているという。