(株)アスキーは、PC-UNIX上で動作する電子編集組版システム『EWB(Editor's
Work Bench/エディターズワークベンチ)』の無償公開を開始したと発表した。同社ホームページからダウンロード可能。
EWBは、原稿の編集/レイアウトからデータ入稿までの一連の編集作業を編集者が一括で行なえるシステム。既存の組版システム『TeX』をベースに開発したもので、LinuxやFreeBSDなどのPC-UNIXサーバー上で動作する。原稿(テキストデータ)に約10種類のコマンド(タグ)を埋め込みコンパイル作業を行なうと、レイアウトされた形でデータ出力され、そのまま印刷所にデータ入稿できる。データはポストスクリプトベースであるため、PDFファイルに変換し、ウェブ上で公開することも可能。
また同社は、EWBの技術向上と発展を目的としたコンソーシアム“EWBコンソーシアム”を設立したと発表した。コンソーシアム参加企業は、共同印刷(株)、共立印刷(株)、ソフトバンク
パブリッシング(株)、大日本印刷(株)、東京書籍印刷(株)、図書印刷(株)、凸版印刷(株)、日経BP社、アスキーの9社。
左から、アスキー取締役インフォメーションカンパニープレジデントの戸島國雄氏、東京書籍印刷デジタルソリューションセンター副センター長開発部長の小林肇氏、図書印刷デジタルメディア本部本部長の梅津幸一氏 |
同社取締役インフォメーションカンパニープレジデントの戸島國雄氏は、「EWBは、アスキーが13年前から使用していた書籍出版用の電子編集組版システム。現在、当社の書籍の7割がEWBで作られている。原稿にコマンドを埋め込むだけで、レイアウトされた形式でデータが出力されるので、そのデータを印刷所に入稿すればいい。制作作業の効率化により、コストを最大20パーセント削減できる。また、1000ページの書籍を制作する場合、制作時間が約80パーセント短縮される。さらに、多くの出版社に電子化を広めるため、企業8社と共にコンソーシアムを設立した。このコンソーシアムからも、今後さまざまな関連ツールを提供する。EWBによる直接的なビジネス展開は考えておらず、あくまでも文化的な貢献が目的」としている。