4日、大日本印刷(株)は、同社のICカード、およびリーダー/ライターと、サイバートラスト(株)が発行する電子証明書を組み合わせて、インターネット上でも機密性の高いセキュリィティーを実現できる、金融機関向けのICカード電子認証システムを提供すると発表した。
インターネットブラウザーで電子取引を行なう場合、“本人確認”や“内容証明”を相互確認するために、秘密鍵と電子証明書を利用者側のパソコンに保存する必要があった。
今回、大日本印刷(株)と、その子会社の大日本山形アイ・エス・ディー(株)とは、インターネットのブラウザー(Netscape
Navigator)と、ICカードリーダー/ライターの間での仲介役を果たすPKCS#11準拠(*注)のドライバーソフトを開発した。これにより、パソコンのHDDではなく、ICカード内部に1024bit長の公開鍵ペアを生成したり、電子認証局(サイバートラスト)から発行された電子証明書を保存したりできる。ICカードさえ安全に保管しておけば、仮にパソコンへの不正アクセスがあったとしても、秘密鍵や証明書を盗まれる心配はない。
(*注)PKCS
PKCS:Public Key Cryptography Standardsの略。RSA Data Security社が定めた公開鍵暗号化技術に関する規格。このうち、PKCS#11はICカードやPCカードなどの装置に適用される。
大日本印刷は、同社のICカードリーダー/ライター『TLP-3』を対象に、今回開発したドライバーソフトを9月から無償で提供する。また、同社が発売しているICカード『STD-9』(容量16KB)を利用すれば、複数の電子証明書を保存できるようになる。
大日本印刷(株)ビジネスフォーム事業部ICカード販促部副課長の矢野義博氏は、「手数料自由化に伴ない、証券業界でインターネットトレーディングの需要が急速に高まってきている。まず、この分野での市場の立ち上がりに期待したい。また、ゲーム機にICカードリーダー/ライターを接続できるようになれば、バンキングや通信販売などのコンシューマー向け市場も拡大するだろう」と予測した。
価格はICカードリーダー/ライターが1万2000円、ICカードは約1000円(印刷なし、発行処理なし、ロット1万枚)。
ICカードリーダー/ライター『TLP-3』 |
16KBの容量があるICカード『STD-9』 |