※編集部注:ascii24では、
日本電子出版協会、XMLに準拠した電子出版交換フォーマットのドラフト版を公開
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0712/srvc05.html
を既に掲載している。
約1万4000部の部数を誇る日刊デジタルクリエーターズに、水無月実氏が寄稿した記事が、上記記事と一部重複するものの、視点や内容の面で、補完関係にあると判断した。筆者(水無月氏)と日刊デジクリ編集部に転載を願い出て、快諾を得た。用字用語、記号の作法などは、原文のままとした。
今回は「電子書籍」のお話をしたい。海外ではネットワーク+ハンディ端末での読書が始まっているようだが、日本でもそのための試みが各方面で行なわれている。
先ごろ、日本で初めて日本電子出版協会が自ら提唱するフォーマット、JEPAXの評価版(Ver.0.7
)を公開した。これまで、辞書、雑誌、新聞などの「標準交換フォーマット」は提唱されてきたが、今回のものは文庫、新書、一般書などの「テキスト系」を対象としている。
日本電子出版協会は、出版社などがこのフォーマットを、電子出版のコンテンツの蓄積や交換を行なうための「交換フォーマット」として使うことを想定している。
各種のコンテンツは、Free & Open (自由に使えて、無料)のこのフォーマットに変換された後、それぞれ「配布フォーマット」に変換されて、市場に出る。
「標準交換フォーマット」JEPAX はXML (eXtesible Markup Language)準拠である。XML
が採用されたのは、XMLがデジタル業界の標準になりつつあること、十分な将来性、拡張性があることを評価したからだ。XML
を使っておれば、そのスタイルを決めるXSL (eXtensible StyleSheet Language)を通じて、さまざまな形式に変換できる。
例えば、インターネットへのコンテンツ配信には、新しいブラウザMicorosoftInternet
Explorer 5.0 (IE 5.0)を利用する。このIE 5.0ではプログラム処理されたXML
ドキュメントを閲覧できる。また、それ以外の配布フォーマット、Open
eBook、T-Time、Book Jacket、文庫DTD
などには、それぞれのフォーマットに対応したXSLフィルターで対応する。
JEPAX
が日本の「標準交換フォーマット」である限り、漢字への対応は重要であり、特に、文庫、新書、一般書のテキスト系では、外字への対応が不可欠である。そこで、JEPAXは
Unicodeに標準対応している。
さらに、JEPAXではそこで規定した方式<UDC>タグでそれぞれの表示環境で表示できる文字の範囲を拡張している。この<UDC>タグでは、
<udc set="mojikyo" number=" (文字番号) "/>と書くと「今昔文字鏡」に収集、分類されている9万字の文字を利用できる。もちろん、それぞれの文字に対応するフォントも
TrueTypeとGIFのビットマップで公開されている。
日本電子出版協会が発表した「標準交換フォーマット」JEPAXは評価版である。同協会は出版社、印刷会社には「このフォーマットに従ったJEPAX
コンテンツの試作」、ビュアー関連メーカーには「それぞれのビュアーに対応したフィルター開発への協力」を提唱している。
この秋には各方面からの評価版(Ver.0.7)への意見を元にJEPAX委員会で、正式版JEPAX
1.0を制定したいと語っている。