東京・江東区の東京ビッグサイトで“建設機械と新工法展示会・CONET'99”が開催されている。これは(社)日本建設機械化協会(JCMA)の創立50周年記念イベントで、37回目の開催になる。CONETでは主に建設関連の企業による大型の建設機械やロボット、新しい施工技術などが展示されてきたが、今回は50周年記念としてテーマ広場やクラシック建機コーナー、建築技術コーナー、情報化施工コーナー、運転体験コーナーなどが常設されている。
会場には巨大な建機が多数展示された |
ascii24的視点での注目は、最新テクノロジーの数々。たとえば、コマツはGPSを使ったディスパッチシステムやサービスモニタリング、自動運転トラックなどのコンセプトを展示した。モニタリングシステムは、クレーンやトラックなどの建築機械にGPS受信機と衛星通信機を搭載し、現在稼働中の場所を認識するほか、エンジンなど機械の稼働状況をテレメータリングして衛星経由でサービス拠点に通知し、故障時のサービスを迅速に効率的に行なうものだ。またディスパッチ(配車)システムはGPSを使って鉱山など広い区画内でのトラックなどの移動を指示するもの。鉱山内で修正データを流して、D-GPS(ディファレンシャルGPS)として利用する。自動運転システムも安全性が確認され次第、製品化を予定しているという。すでにGPSは建設現場では広く使われはじめており、その先の応用システムの分野で各社は新しい取り組みをし始めているところのようだ。
建機の稼働状態をモニタし、衛星経由で転送、故障や点検のタイミングを的確に把握することができる。コマツの参考出品したシステム |
ショベルやクレーンなど建機の運転シミュレータは多数のメーカーが展示 |
また、コマツをはじめ多くのメーカーがシミュレータを展示していた。これはクレーンやブルドーザなどの建機の操縦をマスターするためのもの。コマツは実際のコックピットと油圧プラットフォーム、3Dグラフィックスを組み合わせたものを展示、タイムトライアルを行なって来場者の注目を集めていた。
最新マシンのコックピット。エアコンだけでなくFM/AMラジオも装備している |
これに対し、次世代のコックピット案としてコンセプト展示されたのがこちら。戦闘機のようにスティックにボタンが集中するタイプ。カンセイの展示 |
情報化施行コーナーでは、実際に運用されているパソコンなどを使った工事システムを多数展示していた。たとえばトンネル工事の場合、現場に設置されたさまざまな機器をLANで結び、映像や音声のほか、観測や作業データのやり取りを行なうことで効率化と安全化を図っている。また、建機の動きをレーザーとパソコンを組み合わせた装置で補正し、絶えず正確な動きをキープするシステムなどが展示されていた。
自動追尾機能を持つ測量機と施行データを持つパソコンにより、建機をコントロールするシステム |
トンネル内に設置されたさまざまな機器やセンサーをネットワークで結び、管理するシールドLANシステム |
東急建設のビルなどの壁面の様子を診断するロボット |
また、テーマ広場では多摩美大で工業デザインを学ぶ学生たちがデザインした“21世紀の建設機械”の発表も行なわれた。海中や空中、宇宙などさまざまなシチュエーションを想定した斬新な建機デザインが展示され、来場者の目を惹いていた。
多摩美大の学生による空中輸送システム |
同じく学生による砂漠作業ロボットが緑化を行なう作業を想定した模型 |
宇宙での作業を想定した建機ロボット |
水中作業用の建機ロボット |
会場にはこのほか巨大なクレーンやショベルカー、ローラー車などが多数展示され、コックピットへも座れるようになっている。小さいころ、こうした巨大な建機に少なからずあこがれを抱いた人も多いはず。そんな人にはワクワクするイベントと言えそうだ。17日の土曜日まで開催されている。