25日、デジタルハリウッド大阪校地下1階のセミナールームにおいて、恒例の“関西ウェブマスターオフ”が開催された。
関西ウェブマスターオフとは'97年より始まった、関西のウェブマスターを一堂に集め、ウェブを中心にあらゆる視点からの勉強会・懇親会を行なうオフラインミーティングである。発起人ならびに進行取りまとめは、ビデオジャーナリストの神田敏晶氏。昨年は首都圏版である関東ウェブマスターオフも開催され、好評のうちに終了している。
手前:進行のKNN神田敏晶氏、奥:ゲストスピーカー ヤフー(株)有馬誠氏 |
ウェブ内の組織で重要な“プロデューサー”と“サーファー”
さて今回の関西ウェブマスターオフのテーマは、ヤフー(株)取締役営業企画部長 有馬誠氏をゲストスピーカーにお招きし“Yahoo!JAPAN 戦略と方向性”と題して行なわれた。有馬氏のスピーチは、まずヤフー(株)の組織面の話から始まった。'96年4月1日の発足時は3名のスタートだったが、現在は110名に達している。5年以内には500名前後まで引き上げたいとの強い希望もあるとのこと。それでも、現在のアメリカヤフーの1000名に比べると人材的には少なすぎると感じる。
ウェブ内の組織へと目を向けると、それぞれのコンテンツに“プロデューサー”と呼ばれるスタッフを配し、そのプロデューサーの采配でウェブでのバランスを取っている。また15名の“サーファー”と呼ばれるスタッフも重要な役割を果たしている。現在では1日に1200件の登録依頼があるのだが、その依頼すべてのサイトに目を通して、審査、登録の作業を手作業で行なうスタッフである。
ヤフー(株) 取締役営業企画部長 有馬誠氏 |
ターゲットを明確にしないと広告が打ちにくい
次に広告の運営に関する話へと進んだ。バナーに関してはページビュー保障型でYahoo!JAPANのサイトの総ページビューが増えた場合、そのバナーの単価を上げるのではなく、枠を増やし新規の広告主を獲得するとのこと。また、ある検索語に対する検索結果のページでは、ターゲットが絞り込めるとして単価が高い場合もある。また広告主にしてみても訴求率が高いのでこちらの方が喜ばれるという。例えば“自動車”という言葉で検索した結果を表示するページには、自動車メーカーや保険会社のバナーを持ってくるということである。しかし、このことは逆にターゲットを明確にしないと広告が打ちにくいことを意味している。
セミナー中の有馬氏 |
汎用性を前に出し、全国のユーザーに情報を提供していく
後半“ヤフークオリティー”へと話が進んだ。現在、ディレクトリー型の検索サービス、ニュースなどのメディアサービス、掲示板などのコミュニティーサービスの3つのサービスを柱にサービスしている。今後はコミュニティーに力を入れていく。「あまねく人々に楽しんでいただくために汎用性を前に出し、全国のユーザーに情報を提供していく」と有馬氏は語った。その言葉通り、Yahoo!JAPANのサイトは人の手作業による非常に分かりやすいディレクトリー構造を持つ。運営以来変更のない完成度の高いサイトデザイン、しかも非常に軽い検索エンジンを備えている。
最後の質問コーナーにおいて、未来像として今後のYahoo!JAPANはどのような方向へ展開するかということに質問が出た。答えは次のようなものである。オンデマンドでの動画の時代も当然やって来るだろうが、動画コンテンツにおいても、今まで通りあくまでアグリゲーターとして、しかも人の手でカテゴライズしていく方向は変わらないし、変わるべきではない。有馬氏は将来どんなモデルになっても、一番多くの人に利用していただけるヤフーでありたいと締めくくった。
セミナールームの様子 |
セミナー終了後、会場の近くで懇親会が催された。40名ほどの大所帯での移動となった。懇親会はインターネット上で他方面にわたり活躍されている、岩城真珠代表取締役 岩城達夫氏の乾杯により始まる。その後有馬氏の挨拶と続き、最初は緊張の感じられた場も次第に和んできた。有馬氏の周りには常に人垣ができており、活発な意見が交換されていた。懇親会中ごろ、名古屋からの出張を終えた、ヤフー(株)大阪支社営業企画部チームリーダー 森本哲司氏が駆け付け、一段と会場が盛り上がった。
回を追うごとに充実してくるこの関西ウェブマスターオフ。世界を駆け巡りながらも開催を取り仕切る神田氏のパワーと、関西ウェブマスターの方々の勢いを感じることができた。新たな切り口での次回の開催を心待ちにしたい。
左側:KNN神田敏晶氏、中央:ヤフー(株)有馬誠氏、右側:ヤフー(株)森本哲司氏 |
懇親会会場の様子 |