日本サムスン(株)は22日、64bitのアルファプロセッサー用の新しいスロットアーキテクチャー“SLOT
B”と、同スロットを採用したマザーボードを公開した。
発表会には日本サムスンのほかAPIの人間も出席した |
アルファは旧米DECが開発した64bitのRISCプロセッサー。高い動作周波数とマルチメディア命令のサポートなどの特徴があり、科学技術計算や3DCG用のワークステーション、ハイパフォーマンスコンピューターのほか、インターネットやオフィス向けサーバーにも広く採用されている。DECがコンパックコンピュータ社に吸収されたあともコンパック内で開発が続けられており、現行の21264シリーズにはこの夏、750MHzで動作する最新版が登場する予定。韓国のサムスン電子社はコンパックからライセンスを受けて製造を担当しているメーカーの1社で、アルファ関連では主要企業のひとつである。
SLOT B版のアルファ21264のパッケージ内部。中央にコア、左右にキャッシュメモリが並んでいる |
青い部分はヒートシンク。黒いカバーをかぶせてSLOT Bとなる |
今回公開された“SLOT B”は、これまでのピンパッケージに代わる新しいスロットアーキテクチャー。インテルのSlot
1のようにキャッシュメモリをCPUコアと同じドーターボードに実装し、ヒートシンクを付けてパッックしたもの。動作クロックは667MHzと750MHzの2種類。キャッシュサイズは2MB、4MB、8MB(!)の3種類が用意されている。SLOT
BはAMDのK7にも採用されることが決まっており、K7ではスロットや信号に関しては互換性が確保されている。同時に公開されたマザーボードはシングルプロセッサー用の『UP1000』とデュアルプロセッサー用の『UP2000』。ちなみにUPはUltimate
Performanceの略。メモリは最大2GB、2チャンネルのUltra2 SCSI、6つのPCIスロット、2ポートのUSBを標準で装備する。667MHz版のUP2000は7月に末に約4500ドル(約55万円)で、また750MHz版は第3四半期をメドに出荷される予定だ。
デュアルプロセッサー用のUP2000マザーボード。左側がSLOT B。プロセッサが1つ実装されているところ。右側の6つのチップはクロスバースイッチを内蔵するTSUNAMIチップセット |
PCIやISA、SCSIなどのインターフェースも当然装備。SCSIは2チャンネルを持つ |
SLOT Bの冷却ファン。1つのプロセッサに2つのファンで対応している |
このマザーボードを開発したのは、コンパックとサムスン電子が出資するジョイントベンチャーの米Alpha
Processor社(API)。APIはアルファに関するライセンスを受けており、プロセッサーやマザーボードのデザインを行なっているという。また同社は、現在ニューヨークで開催されている“PC
EXPO”で常温で1GHzで動作するSLOT B版アルファのデモを行なっていることもあわせて発表した。インテルも高クロックでの動作デモをすでに行なっているが、常温での(もちろん冷却対策はあるが)動作が公開されるのは初めてのこと。動作クロックが高いというアルファの面目躍如といった感がある。