フリーの精神を理解する人たちが集い、発表
19日“フリーな OS のフリーなアプリケーションを熱く語る会”、“Free on Free”が山本和彦氏とIIJの主催により、アスキー本社で開催された。参加資格の“フリーな OS で動くフリーなアプリケーションを愛していること”からもわかるように、開催の目的はUNIX系のアプリケーションについて理解を深め、より一層のユーザーの拡大を図ること。この精神にのっとり、発表者も全員無給という条件にこころよく応じてくれた人ばかりだった。開催の挨拶 |
富士通研の和田氏による基調講演 |
まず、富士通研の和田英一氏による基調講演『Know Thyself』が行なわれた。故高橋秀俊東京大学名誉教授の論文を紹介、'67年発表ながらTSSのあるべき姿に鋭く言及したその内容は、現代のプログラミングにも通じるものがあった。
14人の代表による、最新版に関する興味深い発表
その後開発者やユーザーグループの代表14人による発表が行なわれた。トップバッターは、アスキーの富樫秀昭氏らによる『pTeX』。『pTeX』は商業印刷に耐えうる組版システムTeXに、日本語処理機能と縦組み機能を加えたもの。社内運用で書籍の60パーセントを作成していることを紹介、GUIによるオペレーションのデモを行なった。アスキーでは『pTeX』によって書籍の60パーセントを制作している |
電総研の半田剣一氏は代表的なエディター『Emacs』や『Mule』について、GNUのリチャード・ストールマン氏とのやり取りやコピーライト問題といった、開発の経緯を詳細に語ってくれた。
日本語変換プログラム『Egg V4』では、PFUの片山善夫氏による華麗なデモに感嘆の声があがった。複数の場所で変換を行なう“マルチフェンス”、日・中・韓漢字一括変換といった機能は商用のFEPの一歩先を行くものなので、これらの実装への期待は大きい。
『Egg V4』の華麗なデモ。日・中・韓漢字一括変換には感嘆の声 |
満場の熱い拍手のうちに閉会
ちなみに、発表中の笑いと拍手が最も大きかったのは、日本イソターネット協会(“ン(ん)”ではなく“ソ(そ)”)塩崎拓也氏による『X-Multi』だった。デスクトップアクセサリーというユーザーの底辺を広げる試み、またアクセサリーの定義を軽く超えてしまうパワーは、称賛に値するものだ。今回が初開催だったが、参加人数が150名と小規模なことも手伝い、会は終始なごやかな雰囲気で進行していった。発表者にも手探りな部分があったと思われる。しかし、それぞれ最新版に関する情報が提供され、質疑応答ではバージョンによる問題といった細かな点にも質問が及ぶぶなど、参加者の理解を深めるという目的は十分に達成されたといえる。また次回の参加への問いに対する満場の拍手は、UNIX文化の将来が明るいことを確信させるものだった。