The Open Group(TOG)は4日、“OPEN テクニカル フォーラム東京'99”を開催した。テーマは“次世代インターネット『IT
Dial Tone』に向けてのThe Open Group標準活動計画”。IT Dial Toneとは、ITインフラを電話を使う様に簡単なものにすること。
TOGはオープンシステム化を推進する、X/OpenとOSF(Open Software Foundation)の2つのコンソーシアムが'96年に組織統合を行なうことにより生まれた国際的な協会。オープンシステム仕様の策定や仕様に準拠した技術開発、エンタープライズ・コンピューティング市場におけるオープンシステム化を目的に設立された。米国に本部があり、米コンパックコンピュータ社や米サン・マイクロシステムズ社をなど、200以上のメンバーで構成される。
はじめに、TOGジャパン代表・会長の藤枝氏から挨拶が行なわれた。
TOGジャパン代表・会長の藤枝氏 |
TOGがテクノロジー統合の障壁を低くする
TOGジャパン代表・会長の藤枝氏は、「システムインテグレーターは、エンドユーザーのために、常にオープンでクロスオーバーな立場が必要である。そのためにTOGが必要となる。TOGのスポンサーは、コンパックや富士通など8社あり、3000億ドル(約37兆円)以上のIT製品を提供している。また、メンバー全体のIT関連予算は、250億ドル(約3兆円)を超えているといわれる。ITのリスクは大きくなってきており、ITビジネスに関する情報交換の必要性が問題となっている。また、最近はM&Aが増え、それに伴ない企業間のアーキテクチャの違いによる問題が増えてきている。このような問題を解決するため、TOGは、情報システムのバイヤーとサプライヤーを一緒にし、テクノロジーの統合の障壁を低くする」と述べた。続いて、最新のTOGの業績紹介や次世代インターネット・アーキテクチャー『IT Dial Tone』について、TOG副社長のマイク・ランバード(Mike Lambert)氏から講演が行なわれた。
TOG副社長のマイク・ランバード氏 |
TOG副社長のマイク・ランバード氏はIT Dial Toneについて、「IT Dial ToneはITインフラを電話を使う様に簡単なものにすることを目標にしている。アプリケーションは、電話を接続するように簡単に相互接続され、誰でも、いつでも、どこからでも何にでもアクセスが可能になるべきである。TOGはこのIT
Dial Tone確立に向けて、適合試験や標準化を行なっていく。また、パートナーを増やし、ベンダーやユーザーが共同作業のできる場を提供していく」と述べた。
IT Dial Toneはこれから本格化する
IT Dial Toneの状況については、「現在、情報システムのバイヤーやサプライヤーが積極的に参加しており、アーキテクチャーやセキュリティ、マネージメントなどの分野において、標準化の作業が進んでいる。'99年度の計画では、各分野での試験や標準化の作業が数多く行なわれることになっており、これから本格化するだろう」と述べた。TOGの最近の成果として、米チボリシステム社と米コンピュータ・アソシエイツ社がスポンサーになったこと、3製品がCORBAブランドの登録を受けたこと、書籍を3種類出版したことが発表された。
また、新規プロジェクトについて説明が行なわれた。主な新規プロジェクトは、まず“モバイル・ネットワーク・コンピューティング・プログラム”。これは、モバイルでの汎用の短メッセージ交換や複数ファイヤーウォール横断の問題についての標準化を行なうもの。次に、“ワイアレス・アプリケーション・プロトコル”。これは、電話回線で情報やサービスにアクセスするモバイルユーザーに向けて、プロトコルとコンテントの標準化を行なうもの。そして、“オープン・ソース・タスク・フォース”。これは、オープン・ソースのライセンス規則の明確化やLinuxの異なるバージョン間の共通性を調査するもの。
同氏は最後に、「私は、アメリカから携帯電話を2種類持ってきたが、日本では全く使えない。このような問題は数多く存在し、解決していかなければならない問題である。TOGは次世代ITの標準化によって多くの問題を解決し、現実的な利益を出していく」と締めくくった。