毎回、その時々に注目を集めているウェブマスターを講師に招いて開催される“関西ウエブマスターオフ”。'99年最初のオフは、大阪のトーメン本社8Fホールで2日に開催された。今回のテーマは“インターネットテクノロジーとWebマーケティング”。
進行役は、KNN(KANDA NEWS NETWORK)代表で、関西ウエブマスターオフ実行委員会世話役の神田敏晶氏。テンポのいいやりとりの中からウェブマスターのためのノウハウをグイグイと引き出し、最終的には3時間にもおよぶセッションとなった。
関西ウェブマスターオフは司会進行役の神田氏(左)と講師の軽妙な掛け合いが持ち味になっている |
ユーザーの力でソフトの値段を下げさせよう
最初のテクノロジーセッションでは、ドアーズコーポレーション代表の戸田克己氏が“Flash
Pix Image Serverホスティングの現場から”というタイトルで講演。Flash
Pixを利用して制作されたサイトを紹介しながら、ビジネスへ応用する可能性について語った。『Flash Pix』は、米ライブピクチャー社が開発した画像ソフト。女性の肌に塗られたファンデーションが判別できるほど画像を拡大しても、モザイクになることのない高品質な画像をインターネット上で提供できるというものだ。応用によってはゲームやパラパラマンガのような動きをするホームページの制作も可能だということを、デモを交えながら紹介した。
ただ、ソフトの価格が15万8000円と割高なため、コストバランスの面で市場が拡がっていないという。そうした現状に対し、戸田氏が実験的な作品を制作することでソフトの啓蒙を図り、併せてユーザーグループを立ち上げることでメーカーに対し値下げのプレッシャーをかけていこうといった呼びかけが行なわれた。
現場の声をソフト会社に伝えようと語る戸田氏 |
プラグイン不要の画像配信ツールに注目
続いて“プラグレス専用サーバ不要のストリーミングテクノロジー”というタイトルで、(株)トーメンエレクトロニクス ソフトウェア事業部の広瀬努氏が、ストリーミングソフト『EMBLAZE .VIDEO PRO』を紹介した。イスラエルのGEO Interactive Media Group社が開発したこの製品は、javaアプレットを利用することで、プラグインソフトなくして最高15/fpsの映像を配信できるというもの。パッケージは5万8000円と価格も手ごろだ。ソフトバンクが米ブロードキャスト・ドット・コム社との合弁会社を設立し、ストリーミング市場に注目が集まっている時期だけに、会場の注目度も高かった。
EMBLAZE .VIDEO PROのデモを行う広瀬氏 |
あらゆる企業にインターネットのノウハウが必要
最後のマーケティングセッションでは、中国興業(株)メディア事業部代表の松本拓也氏が、“インターネット・マーケティング・プロモーションの現場から”と題して、同社の“超広告”戦略をはじめとする今後の市場展望を語った。同社はインターネット広告販売での売上で日本3位だという。松本氏がインターネットプロモーションのおもしろさを感じはじめたのは、昨年の6月頃から。以前から既存の広告モデルに疑問を持っていた松本氏は、ダイレクトレスポンス型の広告効果測定モデルを駆使して売上を伸ばし、この1月は950万円を売り上げたという。また、本業である商社事業の売上が2倍以上になったのも、すべてインターネット効果だという。インターネット・マーケティングのノウハウをつかむことは、ウェブマスターのみならず、あらゆる企業人にとって必要であると言えそうだ。
会場に詰めかけたウェブマスターたちは、松本氏が語る数字に驚きを見せていた |
今回のオフでは最終的には40名を越えるウェブマスターが集まり、講演終了後の2次会でもさまざまなプロジェクト企画が飛び出すなど、情報交流の場としても定着しつつあるようだ。次回の関西ウエブマスターオフは4月頃開催の予定。