8月22日ターボリナックス ジャパン(株)(以下ターボリナックス)は、「TurboLinux月例ソリューション戦略セミナー」をダイヤモンドホテル (東京都千代田区一番町25番地)にて開催した。このセミナーは月1回の予定で行なわれ、先月から始まったもの。2回目の今回は、ターボリナックスの業務内容及び製品紹介が行なわれた。この中で7.0を始めとしたTurboLinuxのスケジュールが語られた。さらに後半ではLinux上のオフィススイートについての紹介をサン・マイクロシステムズ(株)、(株)メディアヴィジョン、米VistaSource, Inc.、(株)ジャストシステム、(株)アトラクスが行なった。セミナーレポート第1回目の今回は、ターボリナックスの戦略発表についてレポートする。
ターボリナックス(株)プロダクトマーケティングディレクター齋藤繁幸氏の講演
まず始めに、プロダクトマーケティングディレクター齋藤繁幸氏が主催者挨拶とTurboLinux戦略について講演した。同氏はLinuxのスケーラビリティについて、サーバ用途からデスクトップ、さらには組み込みまでを“Linux”という単一のOSがカバーしていることに触れ、今後Linuxが進化していくであろうとした。
TurboLinuxというソフトの役割は、自動車のエンジンをLinuxとして考えるならば、その名のとおり「ターボ」にあたるという。つまりLinuxに付加価値を与える存在がTurboLinuxだということである。製品ラインナップの特徴として、ターボリナックスはバンドルソフトウェアなどグレードで商品を分けているのではなく、使用目的(クラスタ・サーバ・ワークステーション)ごとに製品を分けている点を述べた。
ターボリナックスの活動
次に同氏は、ターボリナックスの活動について、2バイトへの対応におけるアドバンテージついて語った。同社は1997年12月に「TurboLinux OS日本語版」を出荷し、現在に至るまで日本語版を制作していることから、2バイト対応への豊富な経験を持ち、Li18nuxへも貢献している。また、世界各地の言語(英語、日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語など)にも対応。アジアの中では、もっとも有名なディストリビューションであるという。
さらに国内におけるTurboLinuxの展開に言及した。サーバ/ワークステーションに特化した機能を搭載したマシンや、日本アイ・ビー・エム、NEC、富士通などのメーカーへOEMやバンドルの実績があり、いち早く商用クラスタの製品化や、日本アイ・ビー・エムのS/390、コンパックコンピュータのAlphaServer、IA-64にも対応している。これらのことにより、同社は1999年国内のLinux本数シェアで42.1%、金額シェアは50.4%と両方とも1位(「BNCマーケットビュー」1999年1月から12月集計)になっているという。
今後のターボリナックスの戦略としては、
- Li18nuxによる国際化
- 米国・日本・中国を中心とした強力な開発・サポート体制の確立
- IBM S/390・コンパックコンピュータのAlphaServer・IA-64などを使用したハイエンド/ハイパフォーマンスのLinux搭載機の制作
- エンタープライズ環境を重視したビジネス用Linuxの開発
- アプリケーション・ポータル/NIS(Network Information Services)/Value Added Distribution(付加価値流通)への展開
などの新しいビジネスにチャレンジしていくとのことだ。
ターボリナックス(株)プロダクトマーケティングマネージャー倉嶋 紀氏の講演
ターボリナックスの市場占有度
齋藤氏の次にプロダクトマーケティングマネージャーである倉嶋氏が、ターボリナックスの商品について語った。まず最初に、上場企業における各クライアントOSごとの(特にLinuxとWindows)関心度について説明があった。ここでは、日経マーケットビューのデータをもとに1999年4月と2000年4月を比較し、前年のLinuxへの関心が33.3%だったのに対して、今年発表のデータは11.5%という結果を紹介した。これは、1999年の熱狂的ともいえるLinuxの拡大が、2000年に入り沈静化に向かったからだろうとのことだ。また、OSの市場台数は今年も来年もWindowsが独占状態になるだろうと語った。標準的に使用するワープロソフト、表計算ソフトもMicrosoft Wordが8割、Excelは9割という結果になっているが、このマイクロソフトの独占状態は、競合がひしめく市場とは違って逆に戦略が立てやすく、付け入る隙があると述べた。
ターボリナックスのオフィス製品
次にターボリナックスのオフィス製品について話題が移った。同社では、1998年7月に本格的な日本発のLinux用オフィススイート「Applixware for TurboLinux」を発売し、1998年12月に「TurboLinux Pro 3.0」(Applixware 4・3・7)、1999年9月には「Turbo Linux Pro 4.2」(Applixware 4・4・2)を順次リリースしていった。
市場でのオフィス製品への要望としては、
- Microsoftのオフィス製品ファイルとの互換性
- インストール(アップデート)が容易であること
- システムの安定性
- 整備されたGUI環境
- 高品質な日本語の印刷が可能であること
などがあることを紹介し、今後はこれらの問題を解消し、オープンソースによる優れたソフトウェアと、ニーズに合った商用ソフトの融合や、Linuxに手を加えられる利点を利用した、各企業にあわせたカスタマイズの受託開発などによって、個人から企業へLinux市場をシフトしていきたいとのことだ。
TurboLinuxのリリースプラン
最後にTurboLinuxのリリースプランとして、
2000年9月
- 「TurboLinux 6.x」(予定)……TurboLinux6.0をマイナーバージョンアップした廉価版
2000年12月
- 「TurboLinux Pro 7.0」……カーネル2.4、glibc2.2、XFree86 4.0を搭載予定
- 「TurboLinux Pro 7.0」……商用アプリケーション・サポートなどを付加
- 「TurboLinux for PPC」……Mac対応のPPC版
を計画していると発表した。