Li18nux共同議長の木戸彰夫氏 |
木戸氏は、まず、ソフトウェアの国際化、地域化とは何かということについて、
- 国際化-インターナショナライゼーションとは、複数の国や文化、言語や習慣を扱うために、OSやライブラリ、アプリケーションを汎用化するプロセスである
- 地域化-ローカライゼーションには、現在多く行なわれている、各国ごとに個別にパッチなどをあてて対応する直接地域化と、国際化に基づいた地域化があり、現在求められているのは、国際化に基づいた地域化である
と説明した。
Li18nuxの現状
そして、UNIXの国際化とLi18nuxの現状について、
- UNIX上での国際化の仕組みには、ロケール、国際化対応APIといったものがあり、IBMをはじめ、Sun Microsytems、Silicon Graphics、Hewlett-Packardなどが、過去10年以上の苦労をしてきた。これらの企業は現在、Linuxをサポートすることを表明しており、また、国際化の重要性を認識しているため、Linuxの国際化を推進するLi18nuxが設立された
- インターネット上でe-bisinessが行なわれるようになって、米国などのシングルバイト文字を使用する地域の企業も、国際化に前向きになった。米国の企業が、日本にモノを売りたいから国際化に対応したい、といったような具体的な要求があるのは、国際化への大きな動機となる
- 国際化に対する要求があったため、周囲のLi18nuxへの賛同も早かった。現在、ディストリビューター、オープンソースのプロジェクト、Linux関連企業など、多くの団体がLi18nuxに参加。また、参加団体は、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、中東など、世界中に存在している
- Linux上で現在使用されているCライブラリ(glibc2.1)は、国際化対応されていないが、次のバージョンのCライブラリ(glibc2.2)では、商用UNIX並みの国際化対応がなされる
ことなどが語られた。
Li18nuxロードマップ
Li18nuxの活動のロードマップとして、
第1フェーズ
- Linuxの共通国際化規約「LI18NUX 2000」策定
- 国際化されているオープンソースのライブラリのカタログ作成
第2フェーズ
- フォント、印刷機能などの国際化に対処
が、予定されており、以下のようなタイムテーブルを発表した。
- 2000年5月11日~12日 Linux World Expo Japan(東京)
「LI18NUX 2000」ドラフト発表 - 2000年8月15日~17日 Linux World Expo San Jose
「LI18NUX 2000」発表
また、より詳しい情報を伝える、新しいWebサイトの準備を進めていることが、補足として付け加えられた。
オープンソースへの参加
オープンソースへの参加について、
- プログラムが書ける人はプログラミングによって貢献しているが、一般のユーザーもプログラムが書けないからといってあきらめないで欲しい
- プログラマは、どんなソフトウェアが望まれているのかを知らないとコードを書くことができない
- 何もしないのではなく「こんな機能があったらいいな」と要求することで、オープンソースへ貢献してほしい
と語り、講演を締めくくった。