10月25日、東京の明治記念館にて、インプライズの製品を中心に、テクノロジー、活用事例、今後の技術動向等を紹介する開発者向けのイベント、「Inprise Conference 99 Tokyo」が行なわれた。同イベントは国内では今年で4回目となる。
インプライズはRDBMS「InterBase」において早くから、Linuxへの対応を行なっていた。また、「J Builder」「C++ Builder」等のLinux対応を発表するなど、積極的にLinuxの環境をサポートしようとしている。
米InpriseのCTO兼副社長Jeff Barca-Hall氏による基調講演
「Inprise Conference 99 Tokyo」は米InpriseのCTO兼Product Development担当副社長Jeff Barca-Hall氏による基調講演で幕を開けた。
「私達の目指すものは、すなわちみなさんの成功です」と語る、米InpriseのCTO兼Product Development担当副社長Jeff Barca-Hall氏。 |
Balca-hall氏の今回の講演の骨子は「企業が生き残るためには、E-ビジネスへの対応が、不可欠である。そして、InpriseはE-ビジネスを成功させるための開発環境を提供していく」というものだった。
まず、「ビジネスモデルの変化に対応するためには、E-ビジネスの導入が必要となる」とし、「E-ビジネスは、E-コマースではなく、販売から在庫確認、発注といったプロセスまでをすべて含むものである」と語った。また、「E-ビジネスの目的はコスト削減ではなく、販売促進だ。そして、企業の生き残りのための重要な要素の1つとなる」とした。
そして、E-ビジネスに対応するため「今年から来年にかけてはITが注目される」とし、ITのキーワードとなるものとして「オープンな規格」、「マルチプラットフォーム対応」、「分散型アプリケーション」をあげた。
3つのキーワードに関するInpriseの対応は以下のようなものだという。
「オープンな規格」については、「インターネットこそがTCP/IP、HTML、XMLといったオープンな規格の世界であり、Inpriseは今後ますますインターネットにフォーカスしていく」、とした。
「マルチプラットフォーム対応」については、OSにおいてはWindowsはもちろんSolaris、AIX、HP-UX、そしてもちろんLinuxもサポートしていく。また環境としてはJavaによりCORBAを、またCOM+によりWindows DNAをサポートするという。
Linuxへの取り組みとして、「2年前にInterBaseのLinux版を出して以来、着々と進んでいる」とし、「現在あるInterBase、VisiBrokerといったプロダクトのほかにJBuilder、Kylixといった製品をリリースしていく」と語った。Kylixは「インテルCPUで動作するLinux用のDelphiとC++Builder」といった製品であり、詳細については来年発表される予定。「MicrosoftがVisual BasicをWindows用のスタンダードな開発ツールとして位置付けているように、KylixをLinux用のスタンダード開発ツールとして位置付けることができるようにするつもりだ」という。
JBuilder 3 for Linuxは2000年第1四半期、JBuilder 4 for NT/Solaris/LinuxとKylixについては2000年中ごろの出荷を予定。そして、すべての製品においてLinuxをサポートすることを目標とした。
Javaへの取り組みとしては、Java2 Enterprise Edition、JBuilder、JDatastoreといった製品があげられた。そして、「残念なことにJavaはクライアント用途としてはあまり普及しなかったが、サーバ側では活用されることになるはずだ」とサーバ製品おいてJavaを活用していくという、Inpriseの方向性を示した。
「分散型アプリケーション」については、今回発表する「Inprise Application Server」もその解の1つであるとした。今回のバージョンで、Enterprise Java BeansとCORBAの融合がなされたという。また、JBuilder3、VisiBrokerといった製品で積極的に開発のサポートをしていく、という。
最後に、長期的な展望において重要となるポイントとして、「再利用可能なサーバコンポーネント」、「インターネットによって配布されるアプリケーション」、「ワイヤレスなどこでも利用可能なインターネットデバイス」の3つをあげた。
今回の基調講演では新たな発表はほとんど無かったが、InpriseがこれからのプラットフォームとしてLinuxをかなり重要視していることを感じさせるものだった。