順調とは言いがたい世界のWiMAX
WiMAXは他国では、すでに米国、韓国などでサービスが開始されており、多くの国や地域でサービス構築の計画が発表されている(関連記事)。
ただ、世界的に見ると、必ずしも順風満帆ではないようだ。米国では、モバイルブロードバンドの利用は、日本などに比べるとあまり高くない。もともと、携帯電話が通話主体で、データ通信利用率があまり高くないのだ。
このため、WiMAX参入の計画を持っていたSprint社とClearwire社は協同でサービスを開始、ポートランドやボルティモアなどでサービスを行なっているが、業績は芳しくないようだ。
韓国は、モバイルWiMAXの元ともなったWiBroを開発し、いち早くサービスに入ったのだが、既存の携帯電話事業者へ免許を割り当てたため、3Gとの共食いをおそれた事業者が積極的に展開できなかった。
WiMAXは、世界的にみるとまだ、立ち上がり段階といえる。各国での普及はもちろんだが、携帯電話のようにローミングが可能になるなら、携帯電話の有力な対抗馬となる可能性はある。ただ、現状、LTEやHSDPA(3G)などのライバルもあり、これからインフラ整備が始まるWiMAXの将来を予測することは難しい。
また、日本で2月26日に試験サービスを開始したUQコミュニケーションズだが、現時点では、東京23区内と横浜市、川崎市のみがサービスエリア。7月からは商用サービスに移行する予定だ。それまでには東名阪、年内に政令指定都市レベルまでエリアを拡大する。また、2012年末までには、人口カバー率で90%を目指す。
実際のデータ転送レートなどは、商用サービスが開始され、ユーザーが集まらないと評価はできない。WiMAXでは、ユーザーに帯域を振り分ける関係で、同一セルに対してユーザー数が増えると、利用できる帯域が減ってしまう。こうした現象は、WiMAXに限らないのだが、それがどの程度まで下がるのかは、ユーザー数やセルの設置具合などによって決まる。ただ、一般的に、設備強化は、ユーザー数に関係するため、今後、どれだけ多くのユーザーを集めることができるのかにかかっていると言える。