かつて「電脳コイル」に夢中になったAR(拡張現実)好きは多いだろう。その中で電脳空間上にペットやアイテムを表示させる「電脳メガネ」は、物語の世界観を成立させるために欠かせないアイテムだった。
その電脳メガネをiPhoneで実現するアプリケーションが頓知・(トンチドット)のARインターフェース「セカイカメラ」だ。2008年の「TechCrunch50」で大きな話題をさらった同アプリが、ファッション展示会「rooms」で公開された。
リアルにバーチャルを楽しむセカイカメラ
では、具体的にセカイカメラとは何か。頓知・の井口尊仁氏は「世界をクリッカブルにする存在」と述べる。アプリを通して現実空間を見れば、新しい付加情報を見たり、書き込むことができるデバイスとなるのだ。
具体的な使い方はこうだ。iPhoneアプリのセカイカメラを立ち上げると、iPhoneのカメラが起動する。そのまま写真を撮るように空間にかざすと、空間上に埋め込まれた「エアタグ」と呼ばれる情報をピックアップできる。井口氏は「現実世界にセカイカメラで情報をブックマークする。この場合はiPhoneはマウスやリモコンになる」と述べる。
実際に動画で見てもらうのがわかりやすいので、下記の動画を見てほしい。
現実空間には何もなくても、iPhone上のセカイカメラを通して現実世界を見るとする。マンガのフキダシのように情報がオーバレイであふれているのだ。
将来的に、セカイカメラが普及すれば街中であちこちにエアタグがふわふわ漂っている世界が生まれるだろう。例えば、あるカレー屋をセカイカメラで見るとする。セカイカメラ上ではエアタグが飛んでおり、クリックすると「現在、大盛りサービス中」とか「営業時間は11時30分~20時」といった店舗情報が表示されるわけだ。
さらにエアタグの情報を読むだけでなく、書き込むことができるのがセカイカメラのすごいところだ。「この店は辛いがうまい」だとか、「信濃町のメーヤウのほうが好きだ」といった個人の感想をエアタグとして空間に書き込むことができる。もちろん、それは他人に見られる。つまり、他人も感動や体験、経験をエアタグを通じてシェアできるわけだ。