闇の中に広がる謎の黒いコンテナ。扉を開けてみると、中にはサーバ。地底のデータセンター――。SFの話ではありません。実際にこんなプロジェクトが始まっていました。それも海外ではなく、日本で。
プロジェクトはその名も「地底空間トラステッド・エコ・データセンター・プロジェクト」。サン・マイクロシステムズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ベリングポイントの3社が中心となり、計12社が参加して共同で進めているプロジェクトです。
資料によると、当初計画ではサンの「プロジェクト・ブラックボックス」30台を設置し、2010年4月のオープンを目指しているとか。このプロジェクト・ブラックボックス、電源や冷却システム、ラックなど、必要な機材がすべて15平方メートルのコンテナの中に入っている“動くデータセンター”。1つのコンテナにサーバ250台が収容できるとのことなので、今回のプロジェクトでは単純計算で7500台ものサーバを収容したデータセンターが地底に誕生することになります。
でも、そもそもなぜわざわざ地底に設置する必要があるのでしょうか。
資料では、理由として「消費電力の低減」を挙げています。プロジェクト・ブラックボックスは、ラック間に設置された水冷装置によってコンテナ内の温度を少ない電力でコントロールできるのが特徴だそうです。今回はこの水冷に地下水を利用。しかも、地底は地上に比べると気温が低く安定しているので、「空調のための電力消費ゼロ」というエコなデータセンターにしたいとのこと。
ちなみに、地底だと目視ではもちろん、衛星などからもとらえにくいため、物理的なセキュリティを確保できるという面でもメリットがあるのだとか。
とはいえ、地震列島といわれる日本。地底にデータセンターを設置してしまって大丈夫なのでしょうか。それに、掘削って結構費用がかかりそうな気がするのですが……。
ベリングポイントの担当の方に聞いてみたところ、「日本には意外と鉱山跡などの地底資源がある」とのこと。つまり、データセンターのために穴を掘るというよりも、使われていない空間の有効活用という方向で考えているようですね。また、地震については、「活断層の分析をしており、地震により影響を受けにくい場所を選定中」とのことです。
「コンテナを使った地底のデータセンターは恐らく世界初めて」(ベリングポイント)というこのプロジェクト。第一期工事設備費用に450億円を投じるビッグプロジェクトですが、具体的な用途やサービスの内容を含め、現時点では秘密も多いそうです。2年後の開設時にはどういった形になっているのか、楽しみですね。