SaaSベンダー業界2位の米ネットスイートがISVの獲得強化に乗り出した。2月28日、米国で新たなSaaSプラットフォーム構想を発表。これを受けて4月3日、日本法人は記者向けに同構想を説明した。
自社アプリを核としたプラットフォーム「NS-BOS」を提供
米ネットスイートが2月28日に発表したのは、「NS-BOS」(NetSuite Business Operating System)と呼ばれるSaaSプラットフォーム。NS-BOSは、マルチテナントのホスティング環境、業務アプリケーション(ERP/CRM/Eコマース)、およびカスタマイズ・開発環境などからなる。
同様のSaaSプラットフォーム構想は、米セールスフォース・ドットコムの「Force.com」が有名。Force.comとNS-BOSの最大の違いは、前者が汎用的なアプリケーション基盤を志向しているのに対して、後者はNetSuiteの基幹機能を核にした業務アプリケーションにフォーカスしていること。NetSuiteにもともとある機能をパラメータ設定でカスタマイズしたり、NetSuiteにないモジュールをアドオンとして追加・補完できるのがNS-BOSとの位置づけだ。
ネットスイートはNS-BOSによって、業種・業界ごとに特化した統合業務ソリューションの提供を目指す。そのためには、特定の業種・業界に対してノウハウを持つISVの参加が必須。なるべく多くのISVをパートナーとして獲得し、ソリューションを充実させたい考えだ。
「たとえば、NetSuiteの基本機能そのままでは寿司屋には使いづらいかもしれない。でも寿司屋に強いベンダーがカスタマイズをしたり、アプリを開発してもらえれば“お寿司屋さん向け業務パッケージ”をSaaSで全国展開できる」(ネットスイート上席執行役員マーケティング・営業推進本部長の高沢冬樹氏)
昨年10月には、インターフェイスやカスタムフィールドなどの設定や、SuiteScript(JavaScriptをベースにしたNS-BOS上の開発言語)をパッケージ化して再配布する機能「SuiteBundler」をリリース。ISVが開発した業種・業界ごとの拡張機能を容易に横展開できるようにした。
また、2月28日にはWebブラウザ上でSuiteScriptのデバッグを行なう「SuiteScript D-Bug」のベータ版を公開。ISVが開発に参加しやすいよう、技術面での環境整備を急ぐ。
加えて、ネットスイートは国内のISVを対象とした研修・教育プログラムなどの支援策も計画する。具体的なパートナープログラムの内容については、「3カ月以内に発表したい」(高沢氏)という。