インテル(株)と特定非営利活動法人 日本医療政策機構は14日、患者の意見を反映した医療サービスの実現に向けて、患者会活動を支援するIT分野での取り組みを行なうことで合意したと発表した。同日、東京都内にて開かれた両者による説明会では、本合意に関するインテルの取り組みや、患者会でのIT活用の事例などが紹介された。
患者会とは患者・障害者や家族を支援する団体で、患者や家族同士の交流の場として活用されている。さまざまな病気や地域に設立されており、その数はホームページを持つなどの活動が確認されているだけでも、国内に1500団体ほどもあるという。
インテルと日本医療政策機構は、医療サービスの向上に患者や市民の意見の反映が必要として、交流の場である患者会の活動をITツールで支援するとしている。インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏は、具体的な事例として以下のような活動を挙げた。
- 日本医療政策機構
- 市民医療協議会ウェブサイトの立ち上げ
- インテル
- 患者会へのパソコンの無償提供(シニア世代向け“バリアフリーPC”、Centrino プロセッサー・テクノロジー搭載ノートPC)
- アラカイネットを通じた患者会向けサービス
実際に、患者会に上記のPCを提供して行なった機能評価テストでは、IPテレビ電話が高い評価を受けたと吉田氏は述べた。患者同士のコミュニケーションに、使いやすいと評価されたという。また、アラカイネットはシニア向けの使いやすさを考慮したユーザーインターフェースを備えるアプリケーション。大きな文字、見やすいボタンなどを備えており、検索やニュース閲覧、IP電話などの機能を提供する、無償提供されるPCにインストールする形で提供される。なお、アラカイネット自体は同プロジェクトのサイトで無料配布されている。
インテルとしては今後、提供PCを使ったモニター試験を通じて患者会向けITツールの改良を進めるほか、患者会向けのPC研修、ITツールの活用促進方策についての検討を進めるとしている。
また説明会には、米インテル社 デジタルヘルス事業本部長のルイス・J・バーンズ(Louis J. Burns)氏が登壇。同社が事業の柱としてデジタルヘルス分野に取り組む理由や、米国で行なわれたタブレットPCベースの機器「Motion C5」による医療現場での実用テストの事例などを紹介した。
Motion C5はタブレットPC型の電子カルテとでも言うべき機器で、医療現場の実情に合うよう、無線LAN内蔵、防水・対衝撃仕様となっている。2007年12月に5つの病院で行なわれたテストでは、使用した臨床医の業務満足度が62%向上、患者への対応時間などが98%増加など、導入による効率性や生産性の向上が非常に高い評価を受けたとしている。特に患者への対応時間については、効率化により例えば小児科などで患者の親との対話時間が長くとれるなどの効果があったという。