これまでのiPodの操作体系とはまったく異なるユーザーインターフェース(UI)を搭載して登場したiPod touch。UIだけでなく、インターネットへの接続が可能など、機能面でも従来のiPodとは一線を画す製品となっている。iPod touchの実力と、その可能性を確かめていくことにしよう。
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薄型iPodを実現したフラッシュメモリー
iPhoneから携帯電話とカメラ機能を除外したデバイスとして登場したのが「iPod touch」だ。iPhoneと比べても、現状では本体前面の大部分を占めるタッチスクリーン式の液晶パネルを含め、見かけや操作性、機能も大きく変わらない。
背面・上面・底面・側面
付属品
製品名に「iPod」が付いているものの、従来機種とは機能や外観は大きく異なっており、初めてWi-Fi無線LAN(IEEE802.11b/g)接続機能を内蔵した。いまのところ無線LANを利用するソフトとしては、ウェブブラウザーのSafari、YouTube専用ブラウザー、iTunes Store専用ブラウザーの3種類を搭載。ソフトウェアのアップデートによって、今後インターネット接続機能を生かせるソフトが追加される可能性もある。
インターフェース
このサイズのiPodとしては、ハードディスク形式を採用せず、音楽やムービーの記録用として、iPhone同様のフラッシュメモリー形式を採用したのは例外的だ。容量は8/16GBという2つのモデルを用意している。アップルストアの価格はそれぞれ3万6800円と4万8800円。一方でハードディスク形式を採用しているiPod classicは容量が80/160GBの2モデルで、価格が2万9800円/4万2800円。つまり、touchは容量がclassicの10分の1で、価格はやや高めという設定だ。
フラッシュメモリーを採用した理由は、薄型のボディーの前面の大部分を液晶パネルで覆うという構造上、ハードディスクの搭載が難しいことが考えられる。実際に、classicより明らかに薄く、nanoより若干厚い程度というサイズを実現している。ところが、ムービー再生に適した大画面でありながら、記憶容量がムービーの記録に適していない点は、ちぐはぐな印象が否めない。
サイズ比較
機能の違いは脇に置き、単純にこのtouchとclassicの2種類の価格差から算出すると、1GBあたりの価格はハードディスクの162.5円に対して、フラッシュメモリーでは1500円となっており、容量対価格比で考えるとtouchは不利だ。しかし耐衝撃性/サイズ/省消費電力によるバッテリーの持続時間などの点では、ハードディスクよりもフラッシュメモリーが圧倒的に有利。
現状のtouchは、何本もムービーを入れたまま数を増やしたり、膨大な音楽ライブラリーの全部を常に携帯したい、といったユーザーには向かない。逆に、音楽やムービーを入れ換える作業を面倒に感じなければ、独自の操作性や大画面をはじめとするtouchのメリットのほうが大きいと感じるユーザーは多いだろう。
スタンド
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