ソニー(株)から11月9日に、デジタル一眼レフカメラの第2弾「α700」が登場する。最近電車の中吊り広告などで目にする機会が増えているので、ご存知の読者も多いだろう。同製品の開発に携わったキーパーソン3人への取材とβ機を試用する機会があったので、その魅力を探ってみたい。
コンパクトな本体に凝縮された質感
広告などで展開されているα700のイメージ写真は、追加バッテリーを収納できる縦位置グリップ(VG-C70AM)を装着して撮影されているものが多い。そのため“大振りなボディー”という印象を持った人もいるかもしれない。しかし、このグリップを外した「素の状態」(ボディーのみ)の大きさはかなりコンパクトなサイズとなっており、重量も中級機としては群を抜いて軽量な690gに抑えられている。
従来機種「α100」の取材を行なった際に、開発者のひとりが「カメラは持ち出してもらわなければ意味がない。そのため、今後は軽量かつコンパクトなボディーにもこだわっていきたい」といった主旨の発言をしていた。その思いがα700にはこめられているのではないだろうか。
エントリー機種では重量を軽くするために樹脂が多用されているケースも多いが、α700ではボディー内部のシャーシに高強度のアルミ素材、外装の上部と前部にマグネシウム合金が使用されており、堅牢性と質感にも配慮されている。
表面の仕上げなどは、今後も併売されるα100と比較してもかなり高品質で、完成度は相当に高まった印象である。
縦位置グリップへのこだわりはハンパじゃない
一方で、縦位置グリップを装着すると、カメラとしての存在感が否応にもなく増してくる。
このグリップは、中級機としてこだわりを持ってカメラを選ぶハイアマチュア向けに用意されたオプション、ということだ。本体と同じ充電式のバッテリー(NP-FM500H)を2個装着できるため長時間の使用にも耐える(装着時には本体のバッテリーは取り外す)。
縦位置グリップのホールディング感は、ボディー本体のグリップとできるだけ近付けるよう配慮されているという。そのために形状を同一にしたり、操作系(十字キーや各種ボタン)を縦位置グリップ側にもほぼ同じレイアウトで用意し、横位置と共通した操作体験が得られるようにしている。こうした設計は他社でもあまり例のないもので、使い勝手に対する開発者のこだわりが感じられる部分だ。
実は筆者は縦位置グリップを最初から本体に取り込んだ形で設計すれば、そのぶんだけ本体の小型化と軽量化が図れるのではないかとも考えていた。しかしソニーとしては、ユーザーに選択させる形にしたかったのだという。
ソニーAMC事業部 商品企画部の竹倉千保氏は「縦位置グリップを外して、少しでも軽い状態で気軽に持ち歩けるようにしたかった」「(グリップが)必要でないユーザーのことも考えて、より広いユーザー層のリクエストに応える必要があった」と話していた。