インターネットやデジタル技術を活発に使っている「アクティブユーザー」の意見を代弁したい──。17日、任意団体「Movements for Internet Active Users」(MIAU、ミャウ、和名「インターネット先進ユーザーの会」)が設立発表会を行なった。発起人には、ITジャーナリストの津田大介氏、法政大学准教授の白田秀彰氏、AV評論家の小寺信良氏など11人が名を連ねる。
ネットユーザーを啓発し、意見を拾い上げる
現在、日本ではインターネットやデジタル機器の発展に合わせて、法律や仕組みの整備が進められている。
例えば12日には、不正アップロードされたコンテンツをダウンロードする行為を規制するために、文化庁の文化審議委員会・著作権分科会で著作権法三十条「私的使用のための複製」を改正するという方針が決まり、一般からのパブリックコメントを受けて国会に提出される予定だ(関連記事1)。
また、地上デジタル放送は、番組を1度しか録画できない「コピーワンス」で運用しているが、8月の総務省情報通信審議会にて、コピーを9回まで可能にし、10回目にムーブ(元ファイルを消してコピー)という処理になる新しい方式への移行が提案された。2日には、JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)が、この新方式の名前を「ダビング10」にすると発表している(関連記事2)。
MiAUでは、こうした法律や仕組みの整備は、どちらかと言えば著作権者や企業などの意見が主導で行なわれており、インターネットユーザーなど一般の声が反映されにくい状況と捉えている。そこで、MiAUを発足し、こうした制度の変更がもたらす影響を一般に啓発したり、インターネットユーザーの意見を吸い上げて代弁するといった活動を行なうという。
「違法サイトからのダウンロード違法化」に反対表明
発起人の津田氏は、MiAUの活動方針として以下の4点を上げた。
- デジタル技術と法制度に関する正確な知識の供給
- 技術発展や利用者の利便性に関わる法制度への対応
- 関連する政府報告書のパブリックコメントに対する意見提出活動
- インターネット利用者の情報リテラシー向上の支援
具体的な活動内容としては、まず、前述の「違法サイトからのダウンロード違法化」という方針について、文化庁が受け付けているパブリックコメントに個人のネット利用という立場から反対意見を出して、さらにインターネットユーザーが意見表明する際の支援を行なうという(関連記事3)。
また「コピーワンス/ダビング10技術の採用」についても反対を表明し、DRM(デジタル著作権管理)フリーなどの代替案を提案。さらに、著作者の死後50年と定められている著作権の保護期間について70年に延長しようという動きについても、過度な保護は著作物の利用促進や文化の発展を阻害するといった観点から反対していくという(関連記事4)。
また津田氏は、「当面はボランタリーな任意団体として活動するが、今後公益法人制度の改革をにらみつつ、来年度には独立した社団法人、有限責任中間法人などに発展することも視野に入れて活動していきたい」と、MiAUの将来について語っていた。
次ページでは、発表会で行なわれた津田氏/白田氏/小寺氏の演説のうち、一部をお届けしよう。