シンビアン(株)は17日、東京都内で記者説明会を開催し、同社代表取締役社長の久 晴彦(ひさ はるひこ)氏や、来日中の英シンビアン(Symbian)社CEOのナイジェル・クリフォード(Nigel Clifford)氏らにより、スマートフォン市場における同社の業績や取り組みについて説明した。
クリフォード氏は講演で、スマートフォン市場全体の盛り上がりと、スマートフォンに対する同社の取り組みについてを語った。まず市場全体について、「パソコンはパーソナルコンピューティングを実現したが、携帯電話はパーソナルコンピューティングを次の地平線へと進める」と述べ、2007年にスマートフォンがデスクトップパソコン、ノートパソコンのそれぞれを上回る出荷台数を記録したという調査会社の資料を示して、「非常に興味深いこと」と述べた。なお、同社によるスマートフォンの定義は、日本で一般的にイメージされているものより広い(関連記事)。
同社の事業も好調で、2007年第1四半期の携帯電話向けOSシェアは72%、累計出荷台数では1億2640万台を越えたという。日本市場では、2003年に最初の同社OS搭載携帯電話機(『FOMA F2051』)が発売されて以降、1000万台出荷を達成したのが2006年だったのに対して、2000万台出荷を2007年に達成するなど、非常に好調に推移していることを示した(関連記事)。日本市場での売上は、同社の売上全体の25%を占めるという。
同社製OSを採用する利点についてクリフォード氏は、「安定したプラットフォームに新しい機能を統合できる」と述べ、短い開発期間で新しい機能を端末上に実現できる点を挙げた。最新のOS『Symbian OS v9.5』についても、端末製造コストの低減とパフォーマンス向上を利点として挙げている。v9.5はパフォーマンス最適化の工夫(デマンドページング)により、メモリー搭載量の少ない低コストの端末でも動作するようになったという。
クリフォード氏は最後にまとめとして、「2007年の進捗に満足している」「我々がスマートフォン市場のマーケットリーダーである」「グローバルな展望、特に日本市場での展望について興奮している」などと述べて、今後のビジネスについても強い自信を示した。
クリフォード氏の後を受けて登壇した久氏は、同社のビジネス概況についてまとめたうえで、日本ではすでに同社製OS搭載機種が60機種を突破したと述べた。2005年度は採用機種が14機種だったのに対し、2006年度は22機種、2007年度はすでに16機種が採用しているなど、日本市場でも同社製OSが好調に拡大を続けていることを示した。日本市場での同社製OSのシェアは、2006年度(2006年4月~今年3月)実績で55%に登るという。
スマートフォンと言えば、日本ではキーボード搭載のWindows Mobile搭載高機能端末が話題になっている。久氏はキーボード付きの端末を掲げて、「シンビアンでもキーボード付きを以前からやっている」と述べつつ、一方で(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの『らくらくホンベーシック』(製造は富士通(株))のような端末にも同社製OSが採用されているという事例を引き合いに出し、「いろんな形状の携帯電話機がシンビアンで実現できるといういい例である」と述べた。ちなみに、久氏自身もらくらくホンベーシックのユーザーであるという。
久氏は今後も携帯電話機向けOSの専門メーカーとして、携帯電話機に求められる“バッテリー駆動時間”や“パフォーマンスの向上”“開発期間が短く安価”点を重視して、パートナー企業の信頼を勝ち得ていくと述べて講演を締めくくった。