トレンドマイクロは、7月3日、東京都内で記者会見を開き、企業向けセキュリティ製品の新戦略「Total Web Threat Protection」を発表した。同戦略に基づく新製品として、ゲートウェイセキュリティアプライアンス3製品を今年9月から順次発売する。
SMTPの66倍にも上るHTTPのトラフィックを守る
「我々は、10年前に初めてメールゲートウェイのアプライアンスを発表した。今度は、Webの世界を変えていきたい」――。トレンドマイクロのCEOであるエバ・チェン氏はこう宣言した。
トレンドマイクロが3日、発表したのは、「Total Web Threat Protection」という企業向けセキュリティ製品の新戦略である。チェン氏は会見の中で、今年6月にイタリアを中心に発生したWebサイトの大規模な改ざん事件を持ち出し、“Webからの脅威”と呼ばれるHTTPを利用した攻撃の増加を問題視。「HTTPのトラフィックはSMTPの66倍にも上る」とした上で、「ハッカーにとっても電子メールを使うよりもWebを使うほうが楽。我々もWebを使った“Webからの脅威”に対抗する必要がある」と強調した。
Total Web Threat Protectionのコンセプトは、HTTPを使った攻撃(具体的には、スパイウェア/ボット/アドウェア/トロイの木馬/ウイルスなど)に対して、多層的なソリューションで防御すること。具体的には、従来から提供しているパターンファイルを使ったウイルス対策やURLフィルタリングに加えて、「Webレピュテーション」機能を提供する。Webレピュテーションは、HTTP接続時に、接続先ドメインの評価情報を参照し、不正なサイトへのアクセスを遮断する機能である(詳細=関連記事)。
トレンドマイクロ日本代表の大三川彰彦氏は、「週に数千の不正なURL情報が寄せられ、日に1500から2000ものシグネチャを生成して配信するという、想像を絶する時代になっている。従来型のソリューションではもはや限界」と話す。
新戦略に基づく新製品として、同日発表されたのは以下の3つのアプライアンス。いずれもレピュテーション機能を備える。
- InterScan Web Security Appliance
- 大企業向けのWeb(http/FTP)セキュリティアプライアンス。ウイルス/スパイウェア/フィッシングなどへの対策機能を持つ。ダメージクリーンナップサービスとの組み合わせにより、ウイルス感染時の復旧が可能。予価は180万円(スタンダード版、1000ユーザーの場合)から。10月1日発売予定。
- InterScan Messaging Security Appliance
- 大企業向けの電子メール(SMTP/POP)セキュリティアプライアンス。ウイルス/スパム対策、コンテンツフィルタリング機能などを備える。予価は370万円(スタンダード版、1000ユーザーの場合)から。9月5日から販売予定。
- InterScan Gateway Security Appliance 1.5
- 中堅企業向けのセキュリティアプライアンス。電子メールとWebの両方に1台で対応する。ウイルス対策、スパイウェア対策、コンテンツフィルタ、クライアントのダメージクリーンナップ機能などを搭載。予価は90万円弱(100ユーザーの場合)から。9月10日発売予定。
トレンドマイクロでは、これらのアプライアンスによるゲートウェイの保護に加えて、同社の既存製品と管理ツール「Trend Micro Control Manager」を組み合わせることで、サーバ、クライアントに対しても多層的な保護を実現できるとしている。また、「Contorl Managerのログを使って顧客企業のセキュリティ状態を把握し、専門家が適切なアドバイスを行なうサービスも構想に含まれている」(大三川氏)という。
大三川氏は、「Webからの脅威に対して1社でマルチレイヤーでサポートでき、しかも現実に製品化しているのはトレンドマイクロだけ」とアピールしている。