富士通フロンテック(株)と(株)富士通研究所は20日、両社が共同開発した“カラー電子ペーパー”を採用した、薄さ12mmの携帯情報端末“ユビキタスコンテンツブラウザー『FLEPia』”(フレッピア)を発表した。サンプル出荷は10月末に開始の予定で、一般販売は2008年から。
FLEPiaは12インチのA4タイプ(幅210×高さ304mm)と8インチのA5(幅158×高さ240mm)タイプの2種類があり、ともに厚さは12mmで前者は480g、後者は320gと薄型・軽量なのが特徴。フィルム基板を採用する電子ペーパーをディスプレーとして搭載しているが、タッチパネル方式を採用し、表示解像度は768×1024ドット、8色または4096色のカラー表示が可能となっている。
両社の開発した電子ペーパーは、一度画像の表示を行なうと電力を消費せずにそのまま表示し続けることが可能なのが特徴。消費電力が低く、8色表示のコンテンツを1分ごとに3000枚表示(画面更新)するというシチュエーションで、50時間の連続稼動が可能だという。この電子ペーパー自体は2005年7月に開発中のものが初披露され(関連記事)、2006年10月にはプロトタイプ端末が公開されていた(関連記事)。
OSにはWindows CE 5.0を採用し、WordやExcelなどの文書ファイル、JPEGなどの画像ファイルの表示のほか、ウェブブラウズなども可能。無線LAN(IEEE 802.11b/g)機能を内蔵しており、セキュリティーとしては128bit AES暗号方式に対応する。そのほかUSB 2.0端子、SDメモリーカードスロットを搭載しており、SDメモリーカードは4GBまで対応する(4GB以上の容量を実現する“SDHC”規格にも対応)。
年内はサンプル販売(1000台)にとどまる。10台単位での販売となり、価格(10台セット)はA4タイプで262万5000円、A5タイプで157万5000円となっている。本日販売を開始し、出荷開始は10月末となる。商用モデルの一般販売は2008年を予定しており、本格的な量産は2009年になるという。量産段階では4~6万円の価格設定にしたいとのこと。
両社はコンテンツ配信ビジネスも検討しており、具体的にはFLEPia用ウェブサイトの運営や既存新聞社、出版社、電子書籍サイトとの連携、フリーペーパーなどの配信代行など考えているという。イメージとしては(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの“iモード”のように、FLEPia用サイトの上で各社のコンテンツを提供する、という形態を考えているそうだが、コンテンツ自体は共通フォーマットを決めるといったことをする予定はないという。
富士通フロンテック 経営執行役常務の利根廣貞(とねひろさだ)氏は、電子ペーパーについて「2010年には市場規模で572億円になる」との(株)矢野経済研究所の調査結果を引用した上で、電子ペーパー市場において「20%のシェアを目指していきたい」と語った。また「完全ペーパーレスの電子会議などを実現したい」と将来像を語った。