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森トラストがマルチメディア総研に代わり筆頭株主に

アイピーモバイル、引き続き携帯電話事業への新規参入を目指す

2007年04月10日 20時45分更新

文● 編集部 若林健太

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携帯電話事業への新規参入を目指しているアイピーモバイル(株)は10日、東京・赤坂の都道府県会館で記者会見を開き、現筆頭株主の(株)マルチメディア総合研究所が保有する全株式について、森トラスト(株)が取得することでマルチメディア研究所と森トラストの両者が合意したと発表した。アイピーモバイルでは“減増資”(減資を行なうとともに新たな株主などによる増資を受け入れること)などにより資本金額を見直すとともに、引き続き事業に必要な資金の調達を進めるとしている。事業の詳細や開始時期については、森トラストと協議した上で準備ができ次第発表するという。

「今後ともご支援いただきますようお願い申し上げます」と挨拶したアイピーモバイル 代表取締役執行役員社長の杉村五男氏

「今後ともご支援いただきますようお願い申し上げます」と挨拶したアイピーモバイル 代表取締役執行役員社長の杉村五男氏

アイピーモバイルはTD-CDMA(Time Division-Code Division Multiple Access)方式によるデータ通信サービスを提供するとして、2005年11月に総務省より特定基地局の開設計画の認定を受け、2GHz帯の周波数帯を割り当てられた。同社は2006年10月からサービスを提供するとしていたが、2006年7月に、当初計画していた5MHz帯域を使用するシステムから10MHz帯域を使用するシステムに変更すると発表。同時にサービスの開始を2007年春に延期すると発表していた。

記者会見には、アイピーモバイル 代表取締役執行役員社長の杉村五男(すぎむら いつお)氏、同社 執行役員経営・管理部門担当の竹内一斉(たけうち かずなり)氏の2名が出席し、杉村氏が今回の発表を行なうとともにコメントを発表した。

アイピーモバイル 代表取締役執行役員社長の杉村五男氏(右)と同社 執行役員経営・管理部門担当の竹内一斉氏

アイピーモバイル 代表取締役執行役員社長の杉村五男氏(右)と同社 執行役員経営・管理部門担当の竹内一斉氏

「今後も事業化に向け、まい進する」

杉村氏は、「アイピーモバイルは今後も、総務省より認定された(特定基地局の)開設計画にもとづき、事業化に向けてまい進する。事業開始時期や、新たな経営体制などについては、なるべく早い時期に改めて発表する」と述べた。また、「一部報道機関において、当社が事業化を断念し、開設計画の認定を返上するとの報道がなされたが、そのような事実はない」と語った。

その後行なわれた質疑応答で、森トラストが筆頭株主になるに至った経緯について質問された杉村氏は、「交渉は3月の中ごろに始まった。両社が最終合意に至ったのは昨日(4月9日)だ」とした。マルチメディア総合研究所以外の既存の株主については、今のところ変更はないという。

増減資を行なうというのは森トラストが増資に応じるということか? との質問には杉村氏は「その方向で検討を進めている」と答え、そのほかの株主が増資に応じているのかについては、検討中であるとした。なぜ森トラストが増資を行なうだけに留まらずマルチメディア研究所が退くのか? との質問には、竹内氏は「森トラストとマルチメディア総研の間で、筆頭株主として旗振り役としてどちらが、という協議がなされ、このような合意がなされた」と答え、具体的な経緯などは明らかにしなかった。

「サービス開始に必要な資金は600億円以上」

サービス開始に必要な資金について聞かれた杉村氏は、「サービス開始の形態によって異なる。現在森トラストと事業の形態、規模も含め協議を進めており、近いうちに報告する」と答えた。竹内氏はそれを補なう形で発言し、「関東県内でサービスを開始した場合、600億円程度と認識している。地方に展開する場合はそれ以上となる。森トラストもそれを認識した上で筆頭株主になった」と語った。森トラストがそれだけの資金を出すというか? と聞かれると、竹内氏は、「それは森トラストの意向なのでこの場では申し上げられない」と述べた。

既存の経営陣に変化はあるのか? という質問に対しては、竹内氏は「筆頭株主が変わっているので、新しい経営陣について改めて発表する」と答えた。杉村氏が経営陣に残るかどうかについては、杉村氏は「調整段階である」と語り、明確な回答を避けた。

また、サービスの開始時期およびその発表がいつになるのかについて報道陣から度重なる質問が行なわれたが、具体的な時期は一切明らかにされなかった。なお基地局の開設状況については、杉村氏は「東京都内で500局の開設を想定しているうち、約200局についてビルの予約が取れており、7局が工事を完了している」とした。

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