携帯向けゲームアプリの革命を起こす!!
au向けJavaゲームアプリコンテスト“オープンアプリ・ゲームコンテスト”、その真意を主催者に直撃取材!
2007年03月09日 14時06分更新
携帯電話向けアプリのポータルサイト“アプリ★ゲット”を運営するスパイシーソフト(株)が主催し、2月1日より開催中の“オープンアプリ・ゲームコンテスト”(関連記事)。auの春モデル最新機種から使用できる“オープンアプリプレーヤー(OAP)”用のJavaゲームアプリを募集するこのコンテストの狙いは何か? コンテストの主催者である同社代表取締役の山田元康氏に話を聞いた。
トップダウン型のケータイゲーム業界に革命を起こす
――まず、オープンアプリ・ゲームコンテストの趣旨について教えてください
山田氏:目指しているのは“革命”ですね! こう言うと大げさですが(笑)。携帯電話向けのゲーム業界は、キャリアーという神が存在していて、その下にゲームメーカーさんが付随するトップダウン的な構図です。この流れは一般的なコンシューマーゲーム業界と同じで、まずハードウェアメーカーがあって、次に流通、そしてショップへという図式とまったく同じになっていてツマラナイ。
auさんは、配信する前に長い審査を通してリリースされる、キャリアー主導のBREWアプリしか必要ない、という今までのBREWアプリ絞り込みの姿勢をいったん見直して、春モデルからOAPによるフリーのJavaアプリを利用できる環境を導入しました。こうなったのもau以外のキャリアーで動作しているフリーアプリの人気の高さや、アプリ作者さんの頑張りがauさんを動かした“革命”の成果だと思います。
そこでコンテストを通じて、ケータイゲーム業界での概念を少しでも覆すような革命が起こせたら……と思い、開催しました。
ビジネス展開よりもフリーアプリの認知拡大を!
――フリーアプリを元に儲けるようなビジネス展開などは?
山田氏:今のところまったく考えていません。フリーアプリでお金を得られるようなゲーム内容を目指しても結局、ゲームメーカーさんの開発力には勝てないと思います。面白いゲームを多数用意してユーザー囲い込むような、今までのビジネスモデルは、ユーザー側に安心感があると言う一面もありますから否定しませんが、それでは従来のゲーム業界と同じでプラスになるものがありません。
フリーアプリはauさんにとってビジネスモデルとして成り立たないのに、OAPを導入した理由はフリーアプリの人気の高さにあると思っています。我々が発行しているケータイゲームアプリ雑誌“アプリ★ゲット”を通じて、中高生に街頭アンケートを行なったところ、メーカー製ゲームよりもクリエイター製ゲームが上位にくるという結果が出ました。仮に100万人がダウンロードすれば、フリーアプリでも見逃せない力になります。まずはビジネス展開よりも、OAPとフリーアプリの認知拡大をコンテストを通じてアプリ作者さんたちと行ないたいと考えています。
人気はやはり移植部門、逆に言えば新作部門が狙い目!?
――コンテストを開催して約1ヵ月が経過しましたが、どれくらいの応募がありましたか?
山田氏:現段階で77作品の応募がありました。アプリ作者さんはギリギリまで粘る(作り込む)傾向があるのでヒヤヒヤしています。でも、よく考えるとコンテストを開催してイキナリ応募してくる人ってのも変ですよね。あらかじめ作品を暖めて用意していたのかな(笑)。まあ、ドコモさんなどが以前に開催されたアプリコンテストでも、最後の最後までじらされたような形になったそうなので、これから一気に集まるでしょう。
――応募部門に既存作品からの“移植部門”と、まったく新しい作品の“新作部門”の2つがありますが、応募作の内訳はどうでしょうか?
山田氏:2月末現在での応募作品のうち、移植部門は71作品、新作部門は6作品です。新作部門は練らないといけない部分が多いですから、なかなか難しいかもしれませんね。移植部門はドコモ用やソフトバンク用の既存Javaゲームをau向けに移植したものです。これまでにアプリ★ゲットに数多くの作品を提供してくれている作者の方が多く応募してきている印象です。あと、既に多くのファンを獲得しているアプリ作者さんは、自分の人気作品を移植してきています。これはファンにとってもうれしいことですよね!
――どういったジャンルのアプリが人気でしょうか?
山田氏:とにかくシンプルなゲームが人気です。見た目は「あれっ?」という感じの作品でもダウンロード数が伸びていて、気になって遊んでみたらハマるという感じです。私たちもそのギャップに驚かされることがよくあります。あと、見た目がシンプルでもサウンドが凝っている作品が多いので、できればマナーモードを解除して遊ぶといいですよ。
ユーザーから、ビジネス向けアプリの要望も多いのですが、OAPの仕様では現在、インターネットにアクセスするようなアプリは、いちいち接続確認のダイアログが出てしまいます。なのでビジネスアプリはなかなか作りにくいみたいですね。あと、フルブラウザーをはじめとした便利なものは、携帯電話メーカーにすぐ模倣され、標準搭載されてしまう現実がありますね。
――コンテスト作品以外も含めて、アプリを多く作られた人はどれくらいの作品を作っていますか?
山田氏:スゴイ人は100本くらい作っています。アプリ★ゲットに登録されている人で一番多いのは709本もあります。多くのアプリを作られる作者さんは、昔のiアプリからゲームを作っている方が多く、アプリ★ゲットにも毎月何本も作品を応募してもらってます。今回のコンテストでも積極的に応募されていますね。
――コンテストの主役である、アプリの作者像はどのような感じですか?
山田氏:アプリから受けるイメージはライトな感じですが、作者の年齢層は高校生から70代まで幅が広いです。その中でも30代半ばから40代のいわゆるベーマガ((株)電波新聞社が2003年4月まで発行していたパソコン雑誌“マイコンBASICマガジン”のこと)世代のサンデープログラマーが大半を占めると思います。高校生は、サンデープログラマーのほかに、部活動でプログラムを組むという人も多いのですが、特に東北地方がプログラムには積極的なんです。東北地方では毎年、学生のアプリコンテストを行なっているくらいですね。この学生コンテストは、プログラム部の年間スケジュールに組み込まれているほどで、運動部における“インターハイ”的な位置にあります。
また、アプリ作成セミナーを今年の1月に行なったのですが、前からアプリを作られている方のほかに、新しく参加された方も増加傾向にあり、プログラマーの広がりに手応えを感じています。
――Javaアプリ作成や検証環境はどのような感じでしょうか?
山田氏:プログラムの作成と検証はパソコン上で行ないます。Javaは簡単に作れますし、お金がかからないのがいいですよね。基本となるAPIは、世界共通の“MIDP(Mobile Information Device Profile) 2.0”を利用します。iモードのAPIは少し違うのですが、同じMIDP 2.0を利用するソフトバンク用アプリからは移植しやすいと思います。OAPで言えば、パソコン上で動作するエミュレーションソフトも用意されているので、アプリの検証もパソコンでそのままできます。ただ、コンテストなどで稼いでいるアプリ作者さんでは、全キャリアーの携帯電話機をいくつか購入して、実機で動作検証している人もいますね。
そうそう、検証といえば携帯ゲームアプリの利点は、作った作品をその場で見せられる点にあります。パソコン用ゲームだと、相手にソフトを渡したり、ダウンロードしてもらって、インストールしないと遊べませんが、携帯アプリなら端末を手渡すしてその場で遊べるし、相手の反応を直に見られるので検証に役立ちますね。
――携帯アプリやコンテストについて、これからの展望などをお聞かせください
山田氏:当初、今月15日までの応募締め切りでしたが、先日締め切りを19日まで延長いたしました。なのでコンテストはこれから応募してもまだ間に合いますよ。特にライバルの少ない新作部門が狙い目です! 今回は第1回目なので、移植作品が多いですが、コンテストを繰り返すことで今までにない新作アプリが登場するのではないかと期待しています。最後に、コンテストに応募されたアプリはすべてダウンロードできるようになりますので結果に期待してください。