ソニー(株)が30日開催した“2006年度第3四半期業績発表会”の席上で、次世代ゲーム機『プレイステーション 3』(PS3)の今後に関する言及があった。
早期普及のために、生産コストが販売価格を上回っている“逆ざや”状態が続いているPS3だが、来期後半には「チップシュリンク、部品点数の削減、歩留まり改善」の3つによって、逆ざや状態の解消が行なわれる見込みだ。業績発表会に出席した同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏が明らかにした。
チップシュリンクに関しては、すでに65nmプロセスによるCellプロセッサーの量産が始まっており、良品に関しては使っていく方針だという。65nmプロセスを使用することで、現行の90nmプロセスに対して3~4割程度のダイサイズ削減が可能になる。1枚のウエハーから取得できるチップの数が増えるため、それに応じた製造コストの低減も見込める。
PS3の出荷台数に関しては、生産出荷台数(工場からの出荷台数)で、200万台を計上しており、今年度末までに600万台の出荷が行なわれる計画。PS3効果もあり、ソニーグループのゲーム事業は前年比236億円増収の4428億円の売上げを計上したが、上述したPS3の戦略的な価格設定、プラットフォーム立ち上げに伴うコスト、PS2(台数ベースで前年同期比23%減)、PSP(同72%減)などの販売減といった状況によって、542億円の損失となっている。来期はこの状況の改善を目指す。
大根田氏は昨年リリースされたPS3用ソフト『グランツーリズモ HD』の無料ダウンロード件数がすでに30万件を超えていることに言及しながら「ネット接続するPS3ユーザー数は50万人を超える」と予測。今後はゲーム機という枠にとらわれない、PS3プラットフォームの拡大にも取り組んでいくとした。