ノキア・ジャパンは、12月8日、企業向けのスマートフォン端末「Nokia E61」を年内に発売する。同日、東京都内で行なわれた記者説明会で明らかにした。ノキアの企業向けラインナップ「Nokia Eseries」としては国内市場への初投入となり、パートナー各社との連携ソリューションと併せて企業導入を進める。
情報システムとの連携を念頭に置いた「Nokia Eseries」
「“自分の時間を作る”がコンセプト。E61でいつどこにいても、仕事ができる環境が手に入る」
ノキア・ジャパンのエンタープライズ・ソリューションズ事業部モバイルデバイス プロダクトマーケティングマネージャーである大塚孝之氏は、「Nokia E61」をこうアピールする。
E61は、3G(W-CDMA)とGSMに対応した携帯電話端末だ。ノキアがグローバルで展開している企業向けラインナップ「Nokia Eseries」の1つで、今年6月に「今秋以降」として国内市場への投入を表明していた。2.8インチ・1600万色の大型QVGA液晶を採用し、日本語予測入力対応のフルキーボードを備えた、いわゆる“スマートフォン”である。
最大の特徴は、冒頭、大塚氏が述べたように、ビジネスユーザーが企業内の情報システムへアクセスすることを念頭に置いていることだ。企業向けのプッシュ型電子メール「Intellisync Wireless Email」「Microsoft Active Sync」「BlackBerry Connect」など複数のソリューションに対応しており、これらと組み合わせて会社の電子メールを利用できる。また、Microsoft Word/Excel/PowerPointファイルのエディタや印刷機能も備えており、添付ファイルとして受信したMicrosoft Office文書を編集したり、直接プリンタから出力することも可能である(ただし、現時点ではヒューレット・パッカードのプリンタにのみ対応)。
さらに、無線LAN(IEEE 802.11b/g)に対応しており、シスコシステムズや日本アバイアのIP-PBX、オープンソースのPBXソフト「Asterisk」と連携し、企業内でのVoIP端末としての利用もサポートする。セキュリティ面では、255桁までパスワードを設定でき、PointSecを利用した端末内データの暗号化にも対応。VPNを利用したイントラネットへのアクセスも可能だ。
同社エンタープライズ・ソリューションズ事業部カントリージェネラルマネージャーの森本昌夫氏は、「企業の情報にアクセスするための革新的な武器」と胸を張る。
参考価格は5万7540円、「クリスマス前には発売したい」
スペック面では、128MBメモリを搭載し、外部メモリにはminiSDを採用した。セキュリティを考慮し、あえてカメラは搭載しない。大容量バッテリの採用で、連続通話時間は5時間(W-CDMA通話時)/4.6時間(VoIP)、待ち受け時間は456時間(W-CDMA)、288時間(W-CDMA+WLAN)と長い。また、マグネシウム合金のボディで堅牢性も確保した。
今回発売されるのは「スタンダード・バージョン」であり、W-CDMA/GSMに対応したキャリアとの契約およびSIMカードが別途必要。価格はオープン価格で、オンラインショップでの参考価格は5万7540円。個人向けはオンラインショップまたはノキア・ストアでの取り扱い、法人向けには兼松コミュニケーションズとダイワボウ情報システムが販売代理店となる。発売日は「年内」とのことだが、森本氏によれば「クリスマス前にはなんとか出したい」とのこと。
なお、6月の発表時点では、ソフトバンクモバイルからの提供も発表されていたが、この件に関してはノキア側では「ノーコメント」(森本氏)としている。また、6月にE61と併せて発売が発表されていた「Nokia E60」は、「ライフサイクルの終わりに近づいている」(森本氏)ことから、日本での発売は見合わせるとのことである。
森本氏によると、「すでに外資系企業を中心に相当数の問い合わせをいただいている」とのことだが、導入コストの面を考えると日本での企業導入が進むにはある程度の時間がかかると見られる。「まずはエグゼクティブ層からになるだろう」と森本氏も話す。豊富なソリューションを備えた本格的な“エンタープライズ・スマートフォン”として、Nokia E61が今後どのように企業に受け入れられるか、注目される。
- ■関連サイト
- ノキア・ジャパン
- http://www.nokia.co.jp/