神田明神にて“だいこく祭”が今日と明日の2日間行なわれている。“だいこく祭”とは、だいこく様に扮した神職が、成人式を迎える参拝者の頭上に小槌を振り身を清める行事のこと。その一環として本日10時より、男性はふんどし、女性は白装束をまとい、冷水を浴び身を清める“寒中禊(みそぎ)”が行なわれた。
本日は大安ということで、結婚式と“だいこく祭”が重なり神田明神は大賑わい
参拝者の頭上に小槌を振り身を清める大黒様と恵比寿様
●寒中禊
“寒中禊”は、昭和30年代より“寒中がまん会”としてはじまった神田明神の恒例行事。神事ということを重視して平成16年から“寒中禊”という名称に変更された。厳寒の中、大きな氷柱が3本入った禊場の中で冷水を浴びる心身鍛錬の荒行で、毎年新成人を中心に高校生から七十歳、さらに外国人も参加している。今年は新成人5名を含む、計28名が参加した(残念ながら今年は外国人の参加者はいなかった)。
裸になった参加者たちはまず、社殿前にて修祓(しゅばつ)と、大祓詞奏上(おおはらいしそうじょう)を行なう。つまり、お祓いとお祈りのこと
礼拝が終わるといよいよ禊場へ。ちなみに今年の参加者は、最年少が19歳、最年長が59歳とのこと
境内を駆け足で1周したあと、禊場へやってきた参加者たち。この後、冷水を浴びる“身滌ぎ(みそぎ)”を行なうのだが……
その前に、天鳥舟を漕ぐ仕草の“鳥船(とりふね)”という準備運動などを入念に行なう
おっかなびっくり冷水を浴びる参加者たち。やはり冷たのだろう、次第にブルブル震える人や、極端に動きが鈍くなる人が出てきた
慣れてきたのか、冷水をバシャバシャと体に叩きつける新成人たち。水しぶきがカメラにまで飛んでくる。ちなみに、後ろで仁王立ちしているのは、道彦(みちひこ)と呼ばれる先導役の宮司
変わって今度は白装束をまとった女性が禊場に入る。恐る恐る冷水を桶に汲むのだが、水が冷たいのか次第に顔がこわばっていく
意を決してエイッと冷水をかけるのだが、勢いがついた水は肩を通り越し、後ろにいた道彦の顔面に一直線!
年配のベテランは、頭から冷水をかぶる豪快さを披露し、寒がる若者に手本を示す。これぞ漢(おとこ)だ!
「うぉーりゃー」と叫びながら、こともなげに何度も頭から水をかぶる姿は、感動的でもある
さすがはベテラン、「わが生涯に一片の悔いなし!」と言わんばかりの堂々たる雄姿。顔に苦痛を浮かべることもなく、淡々と行水を繰り返すその姿からは、寒さをまるで感じない。ある意味、若者よりも若者らしかった
それを見つめる女性陣。寒中禊終了後にインタビューしたところ「冷水を浴びている時は気合のせいか、あまり寒くなかった。浴びた後、次の順番を待っている時が凍そうでつらかった」とのこと。なるほど、どうりで顔に血の気がないわけだ
ベテランの姿を見て奮い立ったのか、髪の毛が濡れるのもかまわず冷水を浴びる女性たち。まさに荒行
先ほどとはうって変わって、大きな動作で冷水を全身に打ち付ける女性陣
一切悲鳴を上げることなく、黙々と冷水を浴びる。これを乗り越えることで、精神的に彼女たちも成長していくことだろう
なにかが吹っ切れたのか、激しく水をぶっかける男性。女性はちょっと困惑気味?
年配の方には負けていられないという意気込からなのか、ものすごい量の水をぶちまける
最後はやはり、豪快なこのベテラン2人が登場。動作、気迫、雄叫び、どれをとっても申し分なし!
冷水を浴びる“身滌ぎ”終了後にも、鳥船などの運動を繰り返す
寒中禊をやり遂げたという思いが寒さを超越したのだろうか、参加者の顔が清清しく見える
●だいこく祭
“寒中禊”の後は、大黒様に扮した神職が境内に登場し、参拝者の頭上に、小槌をひと振りする姿が見られた。なお、明日の14日は“四條流庖丁儀式”が行なわれる予定だ。平安時代がはじまりの日本料理の伝統を今に受け継ぐ由緒正しい四條流。その装束姿で古式に則った儀式は一見の価値あり。もちろん明日も大黒様が登場するので、神田明神だけで味わえる福神の祭りを味わいたい人は、訪れるといいだろう。
大黒様や恵比寿様が境内を歩いては参拝者に小槌を振る
15時からは大黒様ご尊像の前で“だいこく祭”が執り行われる。期間中は、開運招福の福笹守りが授与される
神田囃子や将門太鼓の演奏も披露される