広帯域の周波数帯を利用し、USB 2.0並みの通信速度を実現する高速無線通信技術“UWB”(Ultra Wide Band)。無線通信技術につきものの法規制との兼ね合いもあり、なかなか製品の形で見えてくることのなかったUWBを利用した製品やデザインサンプルが、2007 CESに多数出展されていた。期待の高速無線通信技術は、こんな製品から登場するようだ。
東芝はUWB内蔵ノートとワイヤレスドックを出展!
何度か紹介しているが、(株)東芝の米国法人によるブースには、タブレット機能搭載ノート『Portege R400』と、R400に組み合わせる“ワイヤレスドック”が出展されていた。ノートパソコンとドックの間をUWBで結び、 ドック側につないだUSB機器や液晶ディスプレー(DVI接続)をノートパソコンから利用できるという。一般的なノートパソコン用ドック(ポートリプリケーター)と同等の機能をワイヤレス接続で実現するわけで、ドックの使い勝手を大きく向上させると期待できる。R400の発売日は28日(現地時間)だが、ドックの発売は2007年第2四半期の予定とのこと。
すでに発売されている製品としては、パソコン用周辺機器で知られる米Belkin社のUWB内蔵USBハブ『Cable-Free USB Hub』がある。UWB機能を内蔵する4ポートのUSBハブで、付属のUSBドングルをパソコン側USBポートに接続して、ハブ本体との通信を行なう。パッケージの説明によれば、最大通信距離は約30フィート(約9m)。ハブ本体にACアダプターを接続する必要がある点が、通常のUSBハブとは異なるところだ。同社のオンラインストアでの価格は199.99ドル(約2万3920円)と、USBハブとしてはかなり高額な製品ではある。
WiMedia Allianceブースでは多数のデバイスが展示
UWBを使う通信規格を推進する業界団体“WiMedia Alliance”による、UWB対応機器を実現するのに必要なデバイスを集めたコーナーが、CES会場の一角に設けられていた。あくまで機器メーカー向けのデバイス展示が主のブースだが、遠からず登場するであろうUWB対応機器の姿をかいま見ることができる。
特に多かった展示は、既存のパソコンにUWB機能を付加するための外付け型UWBアダプターの類である。無線LAN機能がノートパソコンに内蔵されるのが当たり前になる前は、USB接続やPCカードタイプの無線LANアダプターがよく利用されていたが、それがUWBでも繰り返されているようなものだ。
アダプターの形態はさまざまで、BelkinのHubに付属するUSBドングル型を始めとして、PDAに適したCFカード型、ノートパソコンへの内蔵に向いたMini PCIカード型、さらにExpressCard/34型のカードタイプのデザインもあった。ニーズの高そうな対応機器がなかなか登場しなかったExpressCardだが、UWBカードはExpressCardの高速性を生かしたデバイスとなりそうだ。