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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第23回

『「親がしんどい」を解きほぐす』(寝子 著、KADOKAWA)を読む

母が亡くなったとき「やっと解放されたんだな……」という思いが頭をよぎった

2024年02月01日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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強い不快感を消化する方法は「話す」「書く」「体を動かす」

 したがって、「この強い気持ちを少しでも減らせる方法をとりながら、時間をかけてつきあっていこう」という心構えが必要になる。ちなみに著者が勧めているその方法は、“話す”“書く”“体を動かす”の3つだ。

 「愚痴を聞いてもらってスッキリした」ということがあるように、“話す”という対処はシンプルかつ効果的。さまざまな思いを“書く”ことも、ストレスの解消と整理に有効。そして“体を動かす”と意識が体に集中するため、怒りや不安で活性化されすぎてしまっていた神経系を調整できるわけだ。

 さらにもうひとつは、「自分」の捉え方だという。

 強い不快感を感じているのも自分自身の一部であり、ほかにも優しさや喜び、思いやりなどのたくさんの要素を持っているのが、あなた自身なのです。
ご自身の中にある不快感も「自分の一部」として、どうやったら上手に抱えていけるようになれるかが、大切な人生のテーマなのでしょう。

 そのことを忘れずにいられると、強い不快感にも乗っ取られずに、「自分の一部」として抱えやすくなるように思います。(211〜212ページより)

 これは非常に重要な指摘だ。なぜなら不快感の源泉は、過去(幼少時)の経験である可能性が高いからだ。しかし過去の経験は消すことができない。だとすれば、「上手に抱えていける」ようになることが重要な意味を持つのである。

 親子関係というのは、未成熟な時代から今の自分を作った特別な関係性であり、あらゆる感情の源と言えます。そのため、今でも親というきっかけがあると、子ども時代の感覚が蘇ってくることが少なくありません。

焦りやイライラ、消えないモヤモヤ、苦しい思考は、「過去の反応である」と捉えてあげると、「今」が落ち着くことがあります。(213ページより)

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