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「埼玉発ロボット」開発を促進!

産学官が協働でロボット開発を進めるための組織「埼玉県ロボティクスネットワーク」誕生

文●石井英男/編集● ASCII

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本記事は「埼玉県ロボティクスネットワーク公式サイト」に掲載された「セミナー・イベント開催報告」内の記事を再編集したものです。

 2023年7月25日、埼玉県が主催する第1回埼玉県ロボティクスセミナーが開催され、埼玉県ロボティクスネットワークの活動がスタートしました。

 本稿では、埼玉ロボネットの研究会・広報活動の第1歩目として2023年7月25日に実施されたキックオフイベント「第1回 埼玉県ロボティクスセミナー」の模様をレポートしていきます。

埼玉県ロボティクスネットワークとは

 埼玉県は、令和8年度に圏央鶴ヶ島IC周辺に「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」を開所する予定で、現在その準備を進めています。埼玉県ロボティクスネットワークは、SAITAMAロボティクスセンターの開所に先駆け、ロボット開発に関わる企業や研究機関、教育機関などさまざまな主体が協働してロボット開発や社会実装を促進するために埼玉県が設立した団体で、略称は「埼玉ロボネット」となります。

令和8年度に開所が予定されている「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」

埼玉県ロボティクスネットワークの取組について

 埼玉県ロボティクスネットワークの主な活動内容は以下のようになります。

 1.ロボット開発に関する研究会や交流事業などの開催、広報の実施
 2.ロボットに関する政策、技術動向の情報共有、普及
 3.ロボットに関する人材の育成や企業などの技術水準の向上に関する事業
 4.「SAITMAロボティクスセンター(仮称)」の活用を促進する事業

 具体的には、農林水産、建設・点検保守、物流・搬送などの分野別研究会や参加企業のロボット関連技術PRカードを活用した企業マッチング、ロボット関連の展示会への合同出展をはじめとした広報活動などを行っていきます。ロボットに関する情報共有を広く行うロボティクスセミナーは、会員以外の人も参加できますが、分野別研究会やPRカード作成、展示会合同出展などの広報活動は会員限定となります。また、SAITAMAロボティクスセンターの活用促進についても、埼玉県ロボティクスネットワークが関わっていきますので、SAITAMAロボティクスセンターに関心がある方は、是非、埼玉県ロボティクスネットワークへの加入をおすすめします。

「令和5年度 第1回 埼玉県ロボティクスセミナー」レポート

 2023年7月25日、コルソホールで第1回 埼玉県ロボティクスセミナーが開催されました。このセミナーの動画はオンデマンドでも配信されましたが、会場には150人を超える参加者が集まり、ほぼ満席になっていました。

会場には150人を超える来場者が。注目度の高さが伺える

 第1回埼玉県ロボティクスセミナーのプログラムは、2つの基調講演と2件の事例紹介、埼玉県担当者による埼玉県ロボティクスネットワークとSAITAMAロボティクスセンター(仮称)の概要説明、名刺交換会・交流会の6つのセクションから構成されていました。

ロボットフレンドリーな環境構築を国が後押し

 最初の基調講演は、「経済産業省が進めるロボット政策 ロボットフレンドリーな環境の実現について」というタイトルで、経済産業省製造産業局ロボット政策室の佐藤大樹氏によって行われました。

経済産業省製造産業局ロボット政策室の佐藤大樹氏

 佐藤氏はまず、ロボット産業の市場動向について、日本は世界一の産業用ロボット生産国で、販売台数のシェアは世界の約45%が日本メーカー製ですが、1990年代はシェアが90%だったと説明しました。国のロボット政策には、「導入・普及を加速するエコシステムの構築」「産学が連携した人材育成枠組の構築」「中長期的課題に対応するR&D体制の構築」「社会実装を加速するオープンイノベーション」の4つの方向性があり、未導入領域へのロボット導入普及の課題は、導入の際に個別のユーザー向けのカスタマイズが必要で、高コスト構造になっているためだと指摘しました。このままではロボットの社会実装が限界に達するため、個別の環境に後からロボットを導入させていくのではなく、ユーザーの業務フローや施設環境を、ロボット導入がしやすい"ロボットフレンドリーな環境"に変えることが大切だと語りました。

 ロボットフレンドリーな環境を実現するための取り組みを、「施設管理」「小売分野」「食品分野」「物流倉庫分野」の各分野ごとに紹介しました。例えば、施設管理については、ロボットとエレベーターや自動ドアなどとの通信連携、施設環境の床や壁、段差などの物理特性の標準化が求められます。また、物流倉庫分野については、マテリアルハンドリング機器やロボットと、上位ITシステムとの通信インターフェイスの標準化やケース仕様の標準化が重要になります。

 まとめとして、ロボットフレンドリーとは、「ユーザーサイドの環境をハードウェアとソフトウェアの観点で整える」ことと「サービスは多少いびつでもそれを受け入れる、人々の寛容さ」の2つのポイントによって実現されるものであり、特に人々の寛容さが重要だと説明しました。

 最後に、福島に整備された福島ロボットテストフィールドの概要を紹介しました。福島ロボットテストフィールドは、陸・海・空のフィールドロボットの開発実証拠点で、さまざまなロボット開発に利用されています。SAITAMAロボティクスセンター(仮称)も新たなソリューションの開発や地域活性、導入促進につながる施設になると期待している、と締めくくりました。

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