このページの本文へ

TikTok creator academy 第4期|第3回講義 「StudyInネイティブ英会話」せいけ氏

動画を最後まで見てもらうために重要なのはオチ! コントの笑いで英会話動画の再生数をアップ

2023年05月26日 12時00分更新

文● 佐藤ポン 編集●金子拓郎(ASCII)

提供: TikTok

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 次世代TikTokクリエイターの発掘と支援を目的にした「TikTok creator academy」は、現在TikTokで活動しているクリエイターを対象に行われているプログラムだ。毎週オンラインで開催されているセミナーでは、第一線で活躍中の人気クリエイターが講師として登場。TikTokで成功するための秘訣やアイデア、動画の制作方法など、クリエイターにとって有益な情報が紹介されている。

 現在、「TikTok creator academy」は第4期が進行中。本稿では、TikTokに「StudyInネイティブ英会話」として動画を投稿している株式会社BLUED(ブルード)・せいけ氏のセミナーをレポートする。

以下記載内容はクリエイター個人の見解であり、TikTokの公式見解ではありません

 ブルードが運営する「StudyInネイティブ英会話」は、「あれ、英語って楽しい!」をコンセプトに掲げた英会話チャンネル。TikTokと他のプラットフォームやSNSを合わせた登録者・フォロワー数は、なんと160万人と人気チャンネルだ。

 チャンネルの企画を行っているのが、今回のセミナーで講師を務める「せいけ氏」。意外なことに英語は流暢に話せず、「英語圏にすら行ったことがない」と自己紹介した。しかしこれはチャンネルの強みにもなっていて、せいけ氏は「英語を話せないので、視聴者目線で発信できる」と語った。

教育系TikTok動画は見てもらいづらい!?
いいえ!オチがあれば最後まで見てもらえる

 講義が本編に入ると、せいけ氏はまず教育系動画クリエイターが誰しも感じているジレンマを紹介。それは、「知識を教えているだけでは再生数が伸びない」ということ。せいけ氏は「知識をどうやって伝えるか?」を重要視して構成を組み立てているそうだ。

 結論から言うと、StudyInネイティブ英会話チャンネルのTikTok動画は、すべて「オチ」が用意されている。なので、教育動画ではあるが、最後に「楽しさ」が待っているわけだ。

 せいけ氏は「視聴者にとって大切なのは、動画のおもしろさ。我々は英語の知識を伝えるというミッションを達成させるために、“オチ”が必要と考えて制作している」と動画制作のコンセプトを語った。

 また、「この動画にはオチがある」と認知されると、最後まで見てもらえる利点もある。その観点でも、動画に“オチ”をつけるのは効果的とのこと。 もうひとつの利点として、オチがある動画は再生数のブレ幅が小さくなると言う。

 せいけ氏は「教育系動画は扱うトピックによって再生数が上下しやすいジャンル」と語る。その理由は、視聴者が知っている内容なら再生されず、さらに知らない内容でも、興味がなければ再生されないから。しかし、毎回オチを入れていると、それがおもしろければ一定数の再生数は約束されるとの事だ。

動画に“オチ”をつけるときの注意点
いいオチと、悪いオチの考え方

 オチの利点はそれだけではなく、動画の尺が長くなる利点もある。英会話の動画は短いものが多いが、動画をコント形式にすると、それだけ長くできる。

 ただし、せいけ氏は「なんでも長くすればよいという問題ではない。動画は適切な長さが必要」と付け加えた。さらに、オチを考えるときの注意点も紹介された。StudyInネイティブ英会話が気をつけている点はふたつ。

1、オチのパートに時間をかけすぎない
2、本編の内容と離れすぎない

 ひとつめの「時間をかけすぎない」は、視聴者がエンタメ系の動画だと誤認してしまうからだ。StudyInネイティブ英会話は教育系。エンタメ系とは動画の性質が異なるので、本編の内容を伝えた後、3秒以内にオチをつけるように気をつけているそうだ。

 そしてふたつめの「内容と離れすぎない」は、英語を学びに来てくれた人が離脱してしまうからだ。あまりにも内容とかけ離れたオチを入れてしまうと、無理やりお笑いを作っているのが透けて見えてしまうのも欠点。動画全体の繋がりが自然ではなくなってしまう。

 加えて“良いオチ”についても紹介された。せいけ氏の経験で上手くいった例は、英会話の知識を伝えたタイミングと同じタイミングで視聴者に笑いが伝わった動画。「英語を教えながら、お笑いを同時に行うと視聴比率が高かった」と、せいけ氏は経験談を語った。

楽しい動画を作るためのネタの集め方

 せいけ氏が動画を作るとき、どうやってネタを集めているのか!? せいけ氏が行っている4つの収集法が紹介された。

 ひとつめは、TikTokと他のプラットフォームやSNSで「英語」や「英会話」、「英語文法」などを検索し、いま興味が持たれているワードを探す。ここまでは誰もが行っているはずだが、せいけ氏はワードを探すだけでなく、「なぜこの動画がよいのか?」の仮説を立て、流行している理由を言語化してから、自分たちの動画に当てはめるようにしている。

 ふたつめは英語関連のワードに関わらず、話題になっているトピックを探す。「人々が共感できるネタは、どの媒体でも上手くいくと思っている」とせいけ氏は持論を展開した。

 3つめの収集法はとてもシンプル。過去に投稿したTikTok動画についたコメントや、いいねの数のチェックだ。コメントは文面を読んで、リクエストに応えればよい。特にいいねの数が多いコメントはニーズがある証拠なので、優先的に採用しているそうだ。

 最後の収集法は「ペルソナへのヒアリング」、仮定した“誰か”に対して動画を作る手法。実在する“Aさん”を想定し、Aさんが一番見たい動画は何か? を真剣に考えながら動画を作ると、バズりやすいそうだ。実際に日本人のひとりにしか刺さらない動画なんて、めったにない。「どこかの誰かが熱中してくれた動画は、他の誰かも熱中してくれる」、「ペルソナに作成した動画を見せてめちゃめちゃ刺さっていれば、同じ属性の方にも刺さってくれる」とせいけ氏。

動画のタイトルも重要
わかりにくいワードは抽象化する

 せいけ氏は「教育系動画に重要なのは、間口を広げること」と語る。その理由は、TikTokとその他プラットフォームのシステムの違いが関係している。教育系の動画を見たいと思っている人の大半は、知りたい内容を検索して動画にたどり着く。これはTikTok以外のプラットフォームの視聴方法だ。

 一方、TikTokでは視聴者が能動的に検索するのではなく、レコメンドシステムによって「おすすめ」フィードに流れてくる動画を視聴するユーザーが多い。いくらTikTokのレコメンドシステムが優れていても、いま知りたい英語の知識が適切に「おすすめ」されるとは限らない。

 なので、せいけ氏がこだわっているのは、動画のテーマやワード、タイトル選び。ひとつの例を紹介した。

【「See」と「Look」の違いを伝えるとき、どう表現すべきか?】

 このままタイトルにしてしまうと、再生数は稼げないだろう。せいけ氏がつけたタイトルは、「日本人が同じ意味だと勘違いしている英語」だった。このようにワードを抽象化させると、再生されやすいそうだ。「人間は得をする行動よりも損をしたくない行動をとる」という「プロスペクト理論にもとづいてタイトルをつけているとのこと。

 すべてのタイトルを抽象的にすればよいかというと、例外もある。それは、ニーズがあるワードや、すでに大きくバズっているトピックの動画だ。せいけ氏は「顕在的なニーズがある動画は、そのままのタイトルをつけたほうがシンプルでわかりやすい」と言う。StudyInネイティブ英会話チャンネルの例で言うと、「AとTheの違い」や「ToとForの違い」、「How are youの返し方」などは、TikTokに限らず、どのプラットフォームやSNSでも再生回数が多いので、そのままのワードでタイトルをつけているそうだ。

視聴者からもらったコメントに
たくさんのヒントが隠されている

 セミナーの終盤は、TikTokアカウント運用及びチャンネル運営が成功した後の話だった。アカウント・チャンネルを気に入ってくれた視聴者が、ずっと好きでいてくれるためにすべき行動が紹介された。

 せいけ氏が行ったのは、コンテンツだけでなく出演者にもファンがつくようにしたこと。特に教育系動画はバズりやすい動画ばかりを投稿できないため、とても有効だったと振り返った。

 具体的には、動画の最後に短めの「NG集」を入れたり、自己紹介を入れる施策。こうすることで、出演者の素の部分が見えて、視聴者に親近感を持ってもらえる。

 もうひとつ大切なのは、出演者自身が自分を客観視すること。「視聴者が見ている自分は、自分が認識している自分ではありません」とせいけ氏は語る。では、視聴者が見ている自分はどこにいるのか? それはコメントを読むと答えが見つかるそうだ。

 StudyInネイティブ英会話チャンネルを発足した当初、せいけ氏は視聴者から「ツッコミでいじめないで」とか「もっと優しくしてあげて」と言われてきたそうだ。もちろん、せいけ氏本人はいじめてもいないし、優しく接しているつもりだった。しかし、「そのように見られているのなら……」とコメントからヒントを掴んで、いまのキャラクター設定が完成した。

 せいけ氏はセミナーの受講者に向けて、「ファンがいないと思ったら、コメントを分析してください」とアドバイスをおくった。

セミナーの後半は質疑応答コーナー

 セミナーの後半は、受講者から寄せられた質問にStudyInネイティブ英会話のせいけ氏が答えるコーナーだ。ここでは印象に残ったQ&Aを一部抜粋してお届けしよう。

【問1】
セリフネタを考えているときに気をつけていることは?
【答1】
前置きなど、極力無駄を消す。「この説明がなくても動画は伝わるのか?」を気にしている。

【問2】
動画についたコメントは返事すべきですか?
【答2】
初めはしたほうがよい。動画が伸びてくるとできなくなってしまうが、可能ならば返信したほうがよいです。

【問3】
動画公開の期間は決めていますか?
【答3】
2日に1本は出すようにしています。たくさん出せば、それだけ結果が出るということです。なので失敗か成功かわかる。初めのうちは、何がよくて、何が悪いかを知ることは重要。僕らがチャンネルを立ち上げた当時は、毎日2本の動画を公開していました。

【問4】
フォローされやすい動画は、どのような動画だと思いますか?
【答4】
わかりやすい動画です。動画内で疑問が解決されている動画や、学びの度合いが強い動画がフォローされやすいと思います。

TikTok creator academyとは?

 TikTok creator academyとは、次世代のTikTokクリエイターを発掘、支援することを目的にしたプログラムです。第4期はオープンコース・エデュケーションコースの2コースでTikTok creator academy生を募集し、応募者の中から選ばれたクリエイターには、コース別に2023年1月末よりセミナーやワークショップを通して、動画再生数を伸ばすためのコンテンツ戦略や、TikTokで成功するための秘訣やアイデア、動画の制作⽅法などについて学ぶ機会を提供しています。

【TikTokについて】
TikTokは、モバイル向けのショートムービープラットフォームです。私たちのミッションは、創造性を刺激し、喜びをもたらすことです。TikTokには、ロサンゼルス、シリコンバレー、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ドバイ、トロント、シンガポール、ジャカルタ、ソウル、東京などの国と地域にグローバルオフィスがあります。

(提供:TikTok)

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン