メルマガはこちらから

PAGE
TOP

社会実装に向けた取り組みが加速する自動配送ロボット

「自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスに関するセミナー」レポート

特集
ASCII STARTUP イベントピックアップ

1 2 3 4

 2022年12月7日、経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)は、「自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスに関するセミナー」を「横浜ロボットワールド2022」内で開催し、同時にオンライン配信した。セミナーでは、2020年度のNEDO事業での実証に関する講演、2022年度のNEDO事業の進捗報告、一般社団法人ロボットデリバリー協会の活動報告のほか、特別講演として、株式会社日本政策投資銀行による「自動配送ロボット×ドローン」がテーマの講演および東京都のスマート東京先行実施エリア「西新宿」における自動配送ロボット等の取り組みについての講演が行なわれた。以下、各講演の内容をレポートする。

 物流におけるラストワンマイル問題などの課題から、自動配送ロボットの社会実装に向けた技術開発や実証実験などの取り組みが加速しており、2023年4月までに公道走行に係る制度整備が予定されている。

 NEDOでは、これまでの技術開発事業で得られた実証実験の成果や知見をもとに、自動配送ロボットを活用した配送サービスの実現を加速させることを目的とし、「自動配送ロボのラストワンマイル」シリーズとしてセミナーを開催してきた。第5回となる今回は経済産業省とNEDOの共催で、パシフィコ横浜で開催された「横浜ロボットワールド2022」内でセミナーを実施した。

 開会の挨拶には、経済産業省 商務・サービスグループ担当審議官 澤井俊氏が登壇。

経済産業省 商務・サービスグループ担当審議官 澤井 俊 氏

「物流業界は慢性的な人手不足を抱えています。その解決策として自動配送ロボットは非常に有力な手段であり、一刻も早く実装していくことが求められています。その実現のためには、いろいろな場所で走らせ、経験を重ねて、安全性やユーティリティを高めていくことが大切です。

 本セミナーでは全国の各地域での取り組みを紹介していきます。政府においても環境整備を進めており、2022年4月には『道路交通法の一部を改正する法律』が成立し、いよいよ2023年4月までには施行されます。民間でも『一般社団法人ロボットデリバリー協会』を立ち上げ、自主規制という形で自動配送ロボットの安全基準やガイドラインの策定といった、ルール作りをしていただいています。一刻も早く自動配送ロボットを実装できるよう、民と官の総力を挙げていきたいと思います」と述べた。

自動配送ロボットの社会実装に向けた経済産業省の取り組み

 次に、経済産業省 商務・サービスグループ 物流企画室 室長補佐 神田浩輝氏が登壇し、「自動配送ロボットの社会実装に向けて」と題して、自動配送ロボットの役割や本事業の目的について説明した。

経済産業省 商務・サービスグループ 物流企画室 室長補佐 神田 浩輝 氏

 まず、政府としての自動配送ロボットへの取り組みは、物流業界の人手不足をはじめ、単身世帯や地方での買い物弱者の問題など、ラストワンマイル配送をめぐる課題の解消を目的としている。低速・小型の自動配送ロボットの制度整備に向けて、2019年に官民協議会を立ち上げ、2020年度には公道実証実験の制度整備により国内での実証実験がスタート。2021年度は、国会に低速・小型の自動配送ロボット制度化のため改正道路交通法案を提出。2022年4月には同法案が成立。2023年4月までに施行され、国内での実用化が制度上可能になる。

 2023年度施行の改正道路交通法では、一定の大きさや構造要件を満たすロボットは、届出制のもと、人による遠隔操作によって、歩行者と同じ歩道等を最高速度6km/hで通行できるようになる。また、2022年1月には業界団「一般社団法人ロボットデリバリー協会」が設立され、自動配送ロボットの安全基準の制定や安全基準に基づく認証などの仕組みづくりが進められている。

 経済産業省では主に、上述の制度整備に加えて、技術開発、サービスの担い手となる事業者の発掘、社会受容性の向上に向けた支援に取り組んでいる。

 技術開発支援では、NEDOの助成事業として、本年度は京セラコミュニケーションシステム株式会社、株式会社ZMP、パナソニック ホールディングス株式会社、LOMBY株式会社の4社を採択。さらに、社会受容性を高めるための認知度の向上と情報発信の取り組みとしては、NEDOと連携したシンポジウムやセミナーを開催。本セミナーもそのひとつだ。

 また、経済産業省のウェブサイトでは自動配送ロボットに関する特設ページを開設している。実証実験の手続きをモデル化した事例集も公開しているので、最新の情報は、経済産業省のサイトを参照していただきたい。(参照:自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスについて

1 2 3 4

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー