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学校の体力テストをDX データ集計管理分析システム「DOSA SCHOOL」

2023年01月11日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP

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 教職員の負担減などを目的に学校業務のデジタル化が進んでいる。中でもDX化が加速しているのが体育や部活動といったスポーツ分野だ。例えば、ICTを活用した部活動支援などが挙げられるが、「一般社団法人 スポーツ能力発見協会」(以下、DOSA)では、生徒の運動能力を測定する「学校体力テスト」のDX化に取り組んでいる。

学校体力テストのデータを集計、管理、分析する

 DOSAが提供しているのは「DOSA SCHOOL」という、学校体力テストのデータを集計し、管理、分析をするシステムだ。体力テストの記録をタブレットから入力すれば自動的に集計、分析が行なわれ、平均との比較や長所、短所、「向いているスポーツ」などがすぐに表示される。データはクラウドで管理。学校(教師・児童)、教育委員会、保護者それぞれに専用画面が用意されており、集計データは各管理画面から確認できる。

 従来の学校体力測定は、アナログで入力を行ない、とりまとめたデータを特定の機関に提出。1ヵ月~2ヵ月後にデータをとりまとめたものが返送され、子供や保護者の元にデータが渡るという形だった。しかしこれでは生徒や保護者が分析結果を見るのに時間がかかる。教員の負担も大きく、体力テストのたびに大変な思いをしている学校が多いのが現状だ。

 しかし、「DOSA SCHOOL」では、結果はその場で児童自身がタブレットから入力するだけで、自動的に集計、解析が行なわれる。データはすぐに共有できる形になるため、解析結果が出るのを待つ必要はない。また、データの入力漏れや異常な数値が入力されている場合は教師側の管理画面で分かる仕組みになっているため、いちいち全てを確認して修正する手間もほとんど発生しない。

遊び感覚で運動能力を伸ばす

 DOSAによると、以前から「苦労して集計し、分析したデータなのにうまく活用できていない」、「体力測定のデータを用いて、効果的な運動指導やアスリート発掘ができないか」という相談が多くの自治体からあったという。加えて、コロナ禍で運動イベントの多くが中止になったこともあり、学校体力テストのデータを活用するシステムの開発に取り組んだとのこと。

 DOSAでは設立当初の2014年より、子供や障がいのある人を対象に、モーションキャプチャー技術を活用した「DOSAスポーツ能力測定」を実施。子供や保護者など多くの参加者に運動指導を行ってきた実績がある。「DOSA SCHOOL」には、DOSAがこれまでの活動で培ってきた研究結果や知見が反映されているのだ。

「DOSAならでは」という工夫が「児童用ページ」の「My遊び」という項目。体力測定の解析結果から、その児童の運動能力を高める方法(運動遊び)を紹介するというものだ。DOSAのスポーツ研究を基にした、得意な分野を伸ばす遊び、苦手なことを克服するための遊びが表示される。

 例えば、反射神経を高める遊びとして、反復横跳びをしながら新聞紙で作ったボールから逃げるという遊びや、グループで輪になり、手をつなぎながらタイミングを合わせて飛び上がる「立ち幅跳び」など。いずれも楽しみながら体力の向上ができる内容になっており、主体的に課題解決に取り組める。また、分析結果や運動能力を高める遊びは、教員がスポーツ指導を行なう際の参考にもなる。

導入校からは高い評価を得ている

 2022年4月から、熊本市内の小中学校でDOSA SCHOOLの利用が始まっている。5~6月に行なわれた体力テストから活用されているのだが、DOSAによると、利用した児童や保護者からは「面白い」、「親子で解析結果や指導方法を見ることで会話する機会が増えた」といった声が寄せられたという。また、教員からは「『My遊び』を授業で活用できる」、「入力にかかる時間が減ることで、児童に向き合う時間が増えた」など、ポジティブな反響が多く寄せられているとのことだ。

 GIGAスクール構想でタブレットの活用が勧められる中、なかなか上手な使い方ができていない学校が多い。しかし、DOSA SCHOOLでは児童側で行うのは数値の入力だけなので、非常に使い勝手が良く、またタブレットという利点を生かした活用ができるのもポイントだろう。学校業務のDX化が進む中、体力テストの負担を軽減するDOSA SCHOOLは学校も重宝するシステムだと言えそうだ。

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