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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第691回

Ada Lovelaceのダイ3種からわかる性能の違い NVIDIA GPUロードマップ

2022年10月31日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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GeForce RTX 4080のGPCとTPCを削ったのは性能調整のため?

 ところで、不思議なのがAD103を使ったGeForce RTX 4080の構成である。基本に戻るが、Ada LovelaceではAD102は12GPCだと公言されている。おそらくAD103は8GPC、AD104は6GPC構成になっている。1つのGPCは6つのTPCと16個のROPから構成される。1つのTPCは2つのSMとPolyMorph Engineから構成される格好だ。

下に並ぶ8つのユニット×2がROP、各々のSMの中の黄色い部分がPolyMorph Engineと思われる

 ということは、GeForce RTX 4080は7GPCである以上TPCは42個、SMは84個になるわけだが、実際には38TPC、76SM構成である。つまり7GPCに減らしたうえに、さらに4TPCを削った構成というわけだ。

 もちろんこれまでもこうした例はNVIDIAの製品にはあったから、これが初めてというわけではないのだが、単に性能調整ないし消費電力調整のためにこうした実装にしたのか、それとも他の理由があるのかは不明である。

 性能調整あるいは消費電力調整のためだとすると、妙にマッチしないのがメモリーである。再びホワイトペーパーの表に戻るが、GeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080 12GB版の場合は21GbpsのGDDR6Xでこれは順当な構成なのだが、GeForce RTX 4080のみ、まだ出荷量も多くなく高価なGDDR6Xの22.4Gbpsを採用しているのだ。

 実のところGDDR6に関して言えば、かつてはGDDR6に比べて低い消費電力で高い帯域を実現できるという売り込み文句で発表されたものの、対抗馬であるGDDR6の方はすでに24Gbps品のサンプル出荷が開始されているという状況で、速度面でのアドバンテージはほとんどない。

 そしてGDDR6XはMicronのみが製造、NVIDIAのみが採用という状況に変化はなく、当然ながら相対的に価格は高止まりせざるを得ない。もし性能調整が目的でTCP/SM数を減じているのなら、もう少し性能を下げてGDDR6X 21Gbps版を採用すればコストも下げられ、入手性も相対的にマシであっただろうと思うのだが、どういう意図でこうした高価格のGDDR6Xを採用する決断に至ったのかは想像がつかない。

 全体的に見て、GeForce RTX 4080のバランスの悪さが、筆者的にはどうにも気になるところである。間もなく発表されるであろうNAVI 3ベースのRadeon RX 7000シリーズと戦うのにこれで十分という判断なのだろうとは思うのだが。

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