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アドビCPO ベルスキー氏にFigma買収の理由やこれからのAdobeについて聞いた

2022年10月31日 09時00分更新

文● 太田百合子 編集●飯島恵里子/ASCII

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引き続き主力製品では
iPad版とウェブ版の両方へシステムを展開

──iPad向け製品のついてどのように考えていますか? Premier ProのiPad版は考えていないのでしょうか?

ベルスキー氏 Photoshop、Illustrator、Fresco、ExpressもiPad向けに製品を展開して大きな成功を収めています。いずれもお客様にとって重要な製品になっているので、引き続きこれらの主力製品では、iPad版とウェブ版の両方へシステムを展開していきます。また他のセグメントについても、探求を続けています。

 たとえばビデオ製品のお客様は、依然精度やパフォーマンスを求めていて、Premier Proが好まれています。また一般向けにはAdobe Expressでも、ウェブやiPadでビデオ編集ができる機能を提供しています。iPadは我々にとってとても重要なプラットフォームですが、お客様が何を望むんでいるのかが一番大事なことなので、状況を見極めていきたいと考えています。

──Adobe Premiere Rushはどのような位置づけですか?

ベルスキー氏 Rushはビデオの製品の中間的な位置づけです。プロ向けでもなければ、ソーシャルメディア向けの動画を素早く作成したい一般のお客様向けでもない。YouTuberなど、Premire Proのパワーも使いたいけれど、もっとモバイルで使い勝手の良いものを求めているお客様向けです。ただ将来的にAdobe Expressがもっとパワフルで高性能になってくれば、そこへブレンドしていくということは考えられると思います。

──Photoshop Expressなど、モバイル向けの製品についてはどうでしょうか?

ベルスキー氏 モバイルのアプリには、いくつかの異なる役割があると思います。たとえば「Adobe Capture」は私のお気に入りのアプリです。色やフォント、ブラシやテクスチャー、マテリアルをキャプチャーすることができ、Creative Cloudのライブラリに取り込んで、IllustratorやPhotoshop、Substance、Premire Proで使うことができます。これはアプリを使って取り込んだものをデスクで使用する、優れたユースケースだと思います。

 一方でPhotoshop Expressは、Photoshopを学ばずにそのパワーの一部を使いたいと思っている、より一般のお客様向けで、Adobe Expressと同じカテゴリーの製品だと考えています。将来的にはPhotoshop ExpressとAdob​​e Expressを連携させる作業を進めています。

 モバイルアプリには流行り廃りがありますし、我々はいろいろなアプリを作るということはしたくありません。お客様はもっとパワフルなものを望んでいると考えるからです。

──しかし特に若いユーザーは、モバイルでもっとAdobeのアプリを使いたいと思っているのではないでしょうか?

ベルスキー氏 我々は「Generative AI」を、モバイルで使えるAdobe Expressに積極的に導入したいと考えています。Generative AIはプロのクリエイターにとっても重要ですが、プロにとってのそれはオプションを増やすことです。試せるオプションが多ければ多いほど良いものが作れますが、時間には限りがあります。Generative AIを使えば、短時間で様々な探求ができます。

 プロではないお客様は、Generative AIを使うことでより速く成功を実感できます。これはAdobe Expressを使っていただく上で重要なことです。

──Adobe Expressでできることが増えると、さらにCreative Cloudを使いたいと思う人が減ってしまうのではないですか?

ベルスキー氏 Adobe Expressが対象にしているのは、最初からPhotoshopを学ぶような忍耐力がないお客様です。しかし、そういうお客様にAIを使って成功してもらうことで、Creative Cloudのお客様になっていただける可能性も高まると考えています。

 Adobe Expressがちょうど漏斗の上のように広い入り口になっていて、その下に様々なクリエイティブツールがあります。今まではこの下しかなかったわけですが、広い入り口からアクセスできるようにしたことで、これまではアドビのお客様ではなかった人たちにも、今、その入り口に立っていただけるようになりました。

 Adobe Expressは、多くのお客様にとってクリエイティブなタスクのスタート地点です。ですのでよりシンプルで使いやすく、Adobeのすぺてのパワーにアクセスできるようにしていきたいと考えています。

 

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