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第24回 ユーザックシステムのRPAで実現した業務自動化の事例

ユーザック主催のRPA研究会で披露されたRPA定着までの道

山形県のITサービス企業がたどり着いた答え 二度のRPA導入挫折からの達成

文●指田昌夫 編集●MOVIEW 清水

提供: ユーザックシステム

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 ユーザックシステム主催によるオンラインセミナー「第8回 RPA研究会~RPAの成功、活用拡大のためのヒント~」の事例講演で、メコムのDX推進ユニットマネージャーの和田吉史氏が、同社のRPAの取り組み経緯とAutoジョブ名人の利用について講演した。

情報システム部門主導で導入に失敗

 同社は山形県山形市に本社を置き、企業に対してIT機器、複合機などの販売とメンテナンス、ソフトウェアの導入支援を行なう企業。従業員は約120名、山形県内6拠点、宮城県と福島県に同業態の関連企業2社を擁している。

 同社はAutoジョブ名人のエンドユーザーとして自社業務の自動化を行なう一方、事業としてIT機器の販売とあわせてAutoジョブ名人を販売するパートナーとしての顔も持つ。「自社の業務で得た知見を、エンドユーザー様の導入支援で還元し、導入支援で得た知見を再び自社の業務改善に生かす循環を作っていきたいと考えている」(和田氏)

 かつて同社は、Autoジョブ名人ではない他社のRPAを使用して業務改善を試みた。その際に教育をしっかり受けられなかったこともあり、安定稼働が実現できず、導入を断念していた。

一度は断念したものの、Autoジョブ名人で再びRPAに挑戦した

 その後しばらくの期間を経て、働き方改革の流れに乗りRPAブームが訪れる中、同社は経営方針として自社の事業にRPAを本格的に取り扱うことを決定する。そのために、まず自社で導入して活用していくこととし、再びRPAの検討を開始した。その結果、コスト面のメリットと稼働安定性が高いAutoジョブ名人の自社導入を決めた。

 当時は、RPAを扱うにはある一定のITリテラシーがないと開発・活用は難しいイメージがあり、和田氏が所属する情報システム部門で開発しなければいけないと考えていた。また、ユーザックシステムから半日×2回の研修を受講すれば、自社で開発できると考えた。しかし、実際はそうでもなかった。

「研修は受けたものの、正直、これだけでRPAが開発できるか不安がありました。自社内で着手したのはよいのですが、結局リソースが足らず、途中で開発を断念してしまったのです」(和田氏)

 RPA導入で二度の挫折を経験した同社だが、顧客へのRPA提供は経営方針であり、あきらめることはできない。突き詰めた結果、RPAの開発・活用は一定のITリテラシーがあるに越したことはないが、自動化したい業務の理解や日々のメンテナンス効率から、現場の事務業務を理解している社員が開発にあたるべきという考えに至る。「当社の顧客の大半も、自社に情報システム部門が存在しない中小企業であるため、現場主体の開発体制を作りたいと考え、現場メンバー中心のプロジェクトを立ち上げた」(和田氏)

 その中で試行錯誤を繰り返し、一般事務員による業務の自動化にはじめて成功した。三度目の正直で開発に成功した同社は、ここからカリキュラムを見直しながら、メンバーを育成していく。現場業務の自動化は、着々と進んでいる。現在は、営業向けコースのカリキュラムも準備し、顧客に最適な提案とヒアリングができるように社内教育を進めている。

現場主導で改善を積んだRPAプロジェクト

 同社のRPAプロジェクトは、現在第4期のメンバーまで進んでいる。プロジェクトの活動目的は、「会社の業務改善と社員の改善意識を醸成し、得られた知見をお客様に還元する」としている。

 メンバーは、職種ごとに部門長からの推薦、または本人の自薦によって選定される。「パソコンの操作は一般的に使えるレベルで、エクセルで簡単な数式が扱えれば問題ない。あとはやる気がある人にメンバーに入ってもらっている」(和田氏)

 研修は1~2週間に一度、半日間の集合研修を計7回実施。およそ2~3ヶ月で完了する。全員本業をしながらのプロジェクト参加であるため、業務に支障が出ないように進める。研修終了後は、自分の所属部署に戻り、RPA化できる業務の洗い出しとシナリオ作成を進めることになる。

 続けて和田氏は、同社がプロジェクトの初期にRPAで自動化した業務の事例を紹介した。

 一つ目は、毎朝の報告業務の自動化である。従来は、担当事務員が毎朝前日に受注した一定金額以上の受注物件をエクセルファイルに書き込み、メールで全社員に報告していた。これをAutoジョブ名人によって販売管理システムからデータを抽出し、エクセル形式にデータを加工、メール送信までの自動化を実現した。これによって、毎朝20分ほどかかっていた事務員の作業が不要になり、担当者が休みでも情報がミスなく発信されるようになった。

「当社の始業は8時30分で、事務員がそこから作業を開始してメールを送るのは9時前ぐらいになっていた。その時にはもう外出している営業部員も多かったが、RPAによって毎朝8時に自動的にメールが送られるようになり、朝出社したときには前日の受注が確認できるようになった」(和田氏)

 二つ目は深夜に必要だった販売管理システムのバックアップをスケジューリング機能で自動化した。これにより、この作業のために残業する必要がなくなった。

 三つ目は、顧客への保守契約満了通知の自動化だ。担当者には、保守契約終了の90日前、30日前に通知が飛ぶようになっており、顧客への通知漏れがなくなった。ほかにも、受注伝票の登録と通知の自動化、請求書データの自動作成など、さまざまなバックオフィス業務を自動化できた。

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