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最新パーツ性能チェック 第371回

Radeon&GeForceを11ゲームタイトルで一斉比較

Radeon RX 6950 XT/RX 6750 XT/RX 6650 XTの実力を検証!全11GPUで比べてみた

2022年05月10日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ASCII

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スーパーヘビー級の「Cyberpunk 2077」ではどうか?

 DXR系で最重量級といえば「Cyberpunk 2077」を避けて通る訳にはいかない。画質は“レイトレーシング:ウルトラ”設定をベースに、DLSSやFSRを無効化した設定を使用している。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「Cyberpunk 2077」1920×1080ドット時のフレームレート

「Cyberpunk 2077」2560×1440ドット時のフレームレート

「Cyberpunk 2077」3840×2160ドット時のフレームレート

 Cyberpunk 2077はVRAMへの負荷も強烈に高いため、RX 6600 XTやRX 6650 XTでは4Kで動かすことは難しい(実際は動くが1fpsを割り込むので検証は断念した)。新旧Radeon対決の軸では新シリーズは旧シリーズよりも約9〜17%上回っている(例外あり)。フレームレートの高さはGeForceに圧倒されてしまっているが、これはGPUとの相性であるといえる。

下位Radeonでは厳しい「Ghostwire: Tokyo」

 最後は「Ghostwire: Tokyo」だ。画質は全項目を最高(スライダー右端)とし、レイトレーシングも有効化したが、レベルストリーミング距離だけはVRAM搭載量で上限が変化するため、全GPUで最低設定とした。マップ内の一定のコースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で計測する。

「Ghostwire: Tokyo」1920×1080ドット時のフレームレート

「Ghostwire: Tokyo」2560×1440ドット時のフレームレート

「Ghostwire: Tokyo」3840×2160ドット時のフレームレート

 このゲームもCyberpunk 2077同様にRTX 30シリーズ有利ではあるが、VRAM 12GB以上ないとフルHDでも最高画質設定でまともに動かすことは難しい(グラフの空欄はフレームレート低すぎで計測を断念した事を示している)。RX 6x50 XTはRX 6x00 XTに対し約6〜10%上回る例が多いが、1例だけ100%近く上昇(RX 6750 XT+4K)したポイントもあった。

性能が上がった分消費電力も上がった

 これまで観測してきた通り、ゲームのフレームレートは既存のRX 6x00 XTよりも約3%〜10%程度高くなることが確認できた。だが、システム全体の消費電力を見る限りでは、性能が上がったぶん消費電力も激増していることが示唆されている。

 そこで、ここではNVIDIAの電力測定用デバイス「PCAT」を利用し、検証に使用したビデオカードのTBP(Total Board Power)を正確に比較する。特にRadeonは、APIでPPTやEDTといった電力周りの情報は取得できても、TBPを正確に把握することが難しいためである。

 今回はGhostwire: TokyoのフルHD設定で10分プレイ(放置)した時のTBPをチェックする。画質設定は前述の検証時と同じレイトレーシング入りの最高画質設定となる。

テストに使用したRadeon系カードにおけるTBPの推移を比較したもの。1秒ごとの移動平均でプロットしている

上のグラフと同じだが、こちらはGeForce系カードだけをまとめたもの

上のグラフに使った生データからTBPの平均/最大値をまとめたもの

 同じゲームで同じシーン、同じような負荷をかけた時のリアルな消費電力を比べると、RX 6x50 XTはRX 6x00 XTよりも消費電力がだいぶ増えていることが分かる。特にRX 6900 XTに対するRX 6950 XTの増え方は凄まじいし、RX 6750Xは格上のRX 6800を超えRX 6900 XTのすぐ背後まで迫っているなど、ファクトリーOCモデルならではの特性を見せている。

 しかし、今回試用したRX 6950 XTとRX 6750 XTカードはいずれもPowerColor製の上位ラインに属するファクトリーOCモデルであるため、もっとマイルドなOC設定のRX 6950 XTやRX 6750 XTカードでは消費電力がここまで高くない可能性も十分ある。

RX 6000シリーズの良さが1つ消えたが……

 以上でRX 6x50 XTの検証は終了だ。 今回の結果を見る限り、既存のRX 6x00 XTに対し数%〜10%程度のパフォーマンスゲインが得られたが、その代償として消費電力が激しく増えた(特にRX 6950 XT)点は残念ではある。Tiny Tina's WonderlandsのようにRTX 30シリーズのフレームレートを圧倒したゲームもあるが、消費電力がRTX 30シリーズより少ないというRX 6000シリーズのアドバンテージがスポイルされた点を残念と感じる人もいるだろう。

 純粋にパフォーマンスの話だけをすれば、今回試した3種類のRadeonのうち、最下位のRX 6650 XTは(個人的に)パッとしない印象がある。しかしその一方で、消費電力の激増した最上位のRX 6950 XTはハイエンドGPU好きとしては好印象だった。むしろRX 6950 XTくらいぶっ飛んだハイエンドRadeonをRX 6000シリーズのローンチ時に出すべきではなかったのか。RX 6900 XTはRDNA 2世代のフラッグシップモデルではあったがRX 6800 XTとあまりにも差がなさ過ぎた。RX 6950 XTのスペックでRTX 3090にぶつけていれば、もう少しRadeonの印象も変わっただろう。

 いろいろな意味で惜しいが、強いRadeonであることは間違いない。折からの円安状況で高価なパーツを買うのは腰が引けてしまうが、強力なゲーミングPCを構築したければ新しいRX 6x50 XTを選択肢に入れてみてはどうだろうか。

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