このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第28回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月9日~4月15日分

キャリアのジェンダーギャップ国内調査、デジタルスキル教育が必要な労働者は約4割、ほか

2022年04月18日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年4月9日~4月15日分)は、ランサム身代金の増大、デジタルスキルとトレーニング、日本企業が対処すべきリスクランキング、EX(従業員体験)についてのデータを紹介します。



■[セキュリティ]2021年、ランサムウェアの平均要求額は約221万ドルに、前年比144%増(パロアルトネットワークス、4月12日)
・ランサムウェアが要求する身代金平均は221万ドル、前年比144%増
・平均の身代金支払額は54.1万ドル
・リークサイトに公開された日本の被害組織は34件

 パロアルトの脅威インテリジェンスチームUnit 42が、ランサムウェア脅威に関する調査結果を「2022年度版:Unit 42 ランサムウェア脅威レポート」としてまとめた。2021年度の身代金要求額平均(世界)は221万3449ドルで、前年から144%増加した。実際の支払額平均(世界)は54.1万ドル、こちらも前年の30.3万ドルから大きく増加している。被害増加の背景には、攻撃者が被害者の実名をダークウェブのリークサイトで掲載し、盗んだ機密データを公開すると脅迫する手段の増加があるという。

世界の組織が受けたランサムウェア攻撃の身代金平均要求額(赤色)と実際の身代金支払額(水色)(出典:パロアルトネットワークス)

ランサムウェア攻撃によりリークサイトに公開された日本の被害組織の業界別内訳(出典:パロアルトネットワークス)



■[経営][SDGs]日本の中間管理職以上の83%が男性(リンクトイン・ジャパン、4月12日)
・中間管理職以上の83%が男性
・「異なる性別だったら悪いポジションだった」―男性は24%、女性は3%
・40%が「男女はそもそも異なるため男女平等は成立しない」に同意

 ビジネスSNS「LinkedIn」のリンクトイン・ジャパンが2月に日本で約1000人(18~70歳)を対象に実施した「日本のジェンダーギャップと働き方に関する意識調査」より。中間管理職以上の男女比は、男性83%/女性17%と大きな開きがある。女性33%、男性は8%が「異なる性別だったらキャリアの立ち位置はよかったと思う」と回答、対して「悪かったと思う」は女性3%、男性24%だった。調査の中では「男女は異なるため男女平等は成立しない」に40%、「男女平等は公正な社会にとって重要な価値観」に48%が同意するなど、やや矛盾した意識も見られる。

有職者の男女比は男性57%/女性43%だが、中間管理職以上になると男性が83%に(出典:リンクトイン・ジャパン)

男女平等と社会問題に関する文章に同意する人/しない人の割合(出典:リンクトイン・ジャパン)



■[スキル][人材]78%が「コロナ禍でデジタルスキルが必要に」、だがトレーニングに投資する企業は18%(アマゾン ウェブ サービス ジャパン、4月11日)
・78%が「コロナ禍に伴い、デジタルスキルが必要になった」と回答
・2025年までに需要の高いデジタルスキルはクラウドとサイバーセキュリティ関連
・デジタルスキル習得支援のトレーニング計画を策定する企業・団体は5分の1未満

 コロナ禍でデジタルスキルへのニーズがどう変わったかを調べた「日本とAPACの変化し続ける労働環境におけるデジタルスキルとその重要性」より。日本からは、1000人以上の技術職・非技術職労働者、310社・団体以上の雇用主が回答した。コロナ禍での仕事の変化に対応するために「より多くのデジタルスキルが必要になった」という人は78%。そこから、デジタルスキルのトレーニングが必要な労働者は2023年には2630万人(労働者の39%)と推計している。

 ただし、そのためのトレーニング計画をもつ企業・団体は18%に過ぎず、トレーニング実施の有無が今後の生産性、イノベーション、従業員定着率などに影響を及ぼす可能性があると分析している。なお、トレーニングに投資する企業・団体の75%が「売上増、イノベーションのサイクル短縮などのメリットが得られた」と回答した。



■[経営]日本国内で優先対処すべきリスクは「異常気象・自然災害」、「人材不足」は前回4位から2位に(デロイト トーマツ グループ、4月13日)
・日本国内で優先的に対処すべきリスクは「異常気象・自然災害」
・「人材不足」は前回4位から2位に浮上
・新型コロナの影響は前回3位の「リモートワークの推進」がトップに

 2021年10月に上場企業3500社を対象に調査し、377社より有効回答を得た「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2021年版より。対処すべきリスクは、昨年トップだった「疫病の蔓延等の発生」が4位に、変わって前年2位の「異常気象・自然災害」がトップとなった。2位は「人手不足」で前回4位から浮上した。3位は前回同様「サイバー攻撃」。新型コロナの影響を受けて優先して着手すべき対策としては、「リモートワーク推進」(41.4%)、「企業戦略の見直し」(27.1%)などが上位に。デロイトでは「リモートワークのインフラは一定整備されたものの、ニューノーマルにおけるコミュニケーションの最適化で悩んでいる企業が多い」と分析している。

日本国内で優先して着手が必要なリスク。トップは「異常気象・自然災害」(出典:デロイト トーマツ グループ)

新型コロナの影響を受けての優先対策では「リモートワーク推進」がトップに(出典:デロイト トーマツ グループ)



■[EX][経営]「EX(従業員体験)」の認知進み、51%が経営課題と認識 (PwCコンサルティング、4月14日)
・EXの認知度が上昇、2018年の49%から74%に
・EX向上は「経営の課題」とする企業は51%、大企業では69%に
・EX向上に全社で取り組む企業は18%、82%は部分的な取り組みにとどまる

 PwCコンサルティングがHR総研と共同で日本企業約200社のエンプロイーエクスペリエンス(EX)の認知度、重要度、取り組み状況に関する調査を実施、速報版としてまとめたもの。調査初回の2018年から「EX」という言葉の認知度は高まり、施策の実施状況も増加しているものの、部分的な検討・実施に留まっていると指摘している。EXで捉えるべき視点を6領域にわけ、各領域における回答企業の「EX成熟度」を計測してレベル0~5に分類したところ、多くが「レベル0」だった。

EXの認知度は大企業の方が高い(出典:PwCコンサルティング

EXを6領域に分けて成熟度を割り出した。多くがまだレベル0の段階だ(出典:PwCコンサルティング

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード